2004 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生における肥満細胞由来キマーゼの関与とその作用機序の解明
Project/Area Number |
16790157
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
村松 理子 大阪医科大学, 医学部, 助手 (30330096)
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Keywords | キマーゼ / 血管新生 / matrix metalloproteinase-2 / 活性化 |
Research Abstract |
本研究は、血管新生におけるキマーゼの役割解明を目的として行っている。これまでに我々はアンジオテンシンII(AII)産生を介した血管新生促進作用を明らかにしたが、アンジオテンシンI(AI)以外の基質を活性化して作用している可能性も考えられていた。そこでAI以外の基質として、血管新生に重要な役割を果たしているmatrix metalloproteinase-2(MMP-2)に焦点をあてて検討を行った。 proMMP-2を豊富に産生するヒト線維肉腫細胞株(HT-1080)を用いて、キマーゼによるMMP-2活性化機構について検討を行った。MMP-2の活性化機構は他のMMPに比べて特異な経路により行われる。MMP-2はプロ体・中間体・活性体という3形態をとり、プロ体から中間体への変換は膜結合型MMP(MT1-MMP)によってなされ、活性体は中間体同士のautocleavageにより産生される。ヒト精製キマーゼを作用させたところMMP-2の活性化が認められ、さらにo-phenanthlolineを用いた検討からキマーゼはプロ体ではなく中間体を基質としてMMP-2を活性化するという機構を明らかにした。ヒト臍帯血内皮細胞を用いてキマーゼの管腔形成能に対する作用を検討したところ、キマーゼはAII産生ではなく、MMPの活性化を介して管腔形成を促進することを明らかにした。また、ハムスター下肢虚血モデルにおいて、ハムスター頬袋由来の精製キマーゼはMMP-2の活性化を通じて虚血肢における血管新生を促し、血流を改善させた。本研究を第78回日本薬理学会(平成17年横浜にて開催)にて発表した。 平成16年度は上記のようにAII以外の経路を介したキマーゼよる血管新生作用を明らかにした。次年度は上記内容の論文化とともに、担癌動物を用いた系でのキマーゼの関与を明らかにしていく予定である。
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