2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳に特異的に発現するオーファン受容体の新規脂溶性リガンドの同定
Project/Area Number |
16790161
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
大日方 英 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50332557)
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Keywords | オーファン受容体 / GPCR / 生理活性脂質 |
Research Abstract |
オーファンの受容体の新規脂溶性リガンドのスクリーニングを行う過程で、G2Aと名付けられたオーファン受容体が、リノール酸の酸化代謝物である9-ヒドロキシオクタデカジエン酸(9-HODE)をはじめとする、いくつかの遊離酸化脂肪酸により活性化されることを見いだした。この受容体のシグナル経路と生理作用について検討を行い、以下のことを明らかにした。 1.ヒトG2Aを過剰発現させたCHO細胞において、9-HODEの濃度依存的に細胞内カルシウム濃度の上昇、cAMPの産生抑制、GTPγS結合活性の増加、およびJNKの活性化が観察された。 2.リノール酸およびアラキドン酸由来の様々な酸化代謝物を用いて、G2Aのリガンド特異性を細胞内カルシウム濃度上昇反応により検討したところ、9-HODEおよび11-ヒドロキシエイコサテトラエン酸が最も強い活性を示した。一方、9-HODEのコレステロール結合体や酸化処理したホスファチジルコリンはほとんど活性を示さず、G2Aは遊離の酸化脂肪酸をよいリガンドとすることが示唆された。 3.G2Aのプロトン感受性に対する9-HODEの影響をイノシトールリン酸の産生により検討したところ、9-HODEは酸性条件下でのイノシトールリン酸産生量を相加的に上昇させたが、相乗的な効果は観察されなかった。 4.ヒト表皮角化細胞にはG2Aが発現しており、9-HODE刺激により細胞内カルシウム濃度の上昇、細胞増殖の抑制、サイトカイン類の産生などが観察された。 リノール酸やアラキドン酸などの多価不飽和脂肪酸は、細胞膜や低密度リポタンパクの構成成分であり、酸化によりG2Aのリガンドとなり得ることが示された。今後、皮膚や動脈硬化巣などの酸化ストレス条件下にある部位において、G2Aの果たす役割の解明が期待される。
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