2004 Fiscal Year Annual Research Report
Ras/Rap結合(RA)ドメインによるGTP結合蛋白質認識機構の解明
Project/Area Number |
16790169
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
島 扶美 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60335445)
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Keywords | M-Ras(R-Ras3) / switch I / X線結晶解析 / NMR |
Research Abstract |
新規GDP/GTP交換因子RA-GEF2のRAドメインに結合する、低分子量GTP結合蛋白質M-Ras(R-Ras3)の、活性型(GTP結合型)及び不活性型(GDP結合型)のX線結晶解析を行い、高次構造の決定に成功した。Rasファミリーの分子内には、switch I, switch IIと呼ばれるアミノ酸配列の保存性が極めて高いloop構造を示す領域がある。活性型でのswitch Iの構造は、標的蛋白質(エフェクター)認識の際には極めて重要と考えられている。活性型M-Rasのswitch Iは、他のRasファミリーの分子(H-RasやRap)とは、全く異なるloop構造を示した。分子内結合の比較分析の結果、活性型M-Rasにおいて、他の分子では保存されているGTPのgamma-リン酸とThr-45(H-RasのThr-35に対応)との水素結合が完全に欠如しており、これが特徴的な構造を示す直接の原因と考えられた。 ^<31P>-NMRによる解析により活性型H-Rasのswitch Iは、state1,state2という2つのコンフォーメーションを取ることが知られている。State1ではRasはエフェクターに直接結合できない(offの構造)が、state2ではエフェクターに結合できる(onの構造)。これまでエフェクターとの複合体において解かれたRasの構造はすべてstate2に対応する。一方、state1はgamma-リン酸とThr-35の結合がない構造であると推測されてきたが、その構造はいまだ解かれていない。今回我々が^<31P>-NMRにより解析を行った結果、結晶解析で解いた活性型M-Rasの構造は活性型H-Rasにおけるstate1の構造に対応することが明らかになった。今回の発見は、Rasが活性型においてもエフェクターを活性化できないoffの構造に固定される薬剤の開発のための重要な知見となる。
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