2004 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄におけるプロスタグランジンF合成酵素I型とII型の局在の違いとその生理的意義
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16790172
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山本 登志子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (60301313)
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Keywords | プロスタグランジン / PGFSI / PGFSII / FP / 脊髄 |
Research Abstract |
本研究の目的は、脊髄におけるプロスタグランジン(PG)F合成酵素PGFSIとPGFSIIの生理的意義を、生体内での酵素連関や受容体との関係を探ることにより解明することである。本酵素はPGH_2とPGD_2を親和性の高い基質とし、PGFSIIの方がよりPGD_2に対する親和性が高い。また、これ以外にもステロイドを基質にする可能性がある。脊髄においては、PGFSIとIIは異なる局在性を示す。すなわち、PGFSIは脊髄灰白質の神経細胞体と樹状突起に、PGFS IIは中心管周囲の上衣細胞とタニサイトに存在し、血管内皮細胞には両酵素とも存在する。 以上の結果をふまえて行った平成16年度の研究実施内容を次に記す。 1.正常脊髄における各酵素と受容体の発現を調べるために、RT-PCR、ウエスタンブロット、酵素活性測定を行った。PG関連ではPGF_<2α>受容体(FP)、シクロオキシゲナーゼ-1、リポカリン型PGD合成酵素(L-PGDS)などの発現が確認された。また、ステロイド代謝系で基質を供給する5α還元酵素(5αR)-1も発現していた。 2.各酵素や受容体と各種マーカーに対する抗体を用いて、免疫組織化学的に解析した。受容体FPは灰白質の神経細胞体と樹状突起に発現しており、連続切片でPGFSIとFPの共存が確認された。しかしながら、他の細胞系ではFPの陽性反応が認められなかった。L-PGDSや5αR-1は、いずれもPGFSとの共存は認められなかった。 以上の結果より、神経細胞体と樹状突起に存在するPGFS Iは主としてPGF_<2α>を合成し、PGF_<2α>はオートクライン反応でFPに結合することが考えられる。一方、上衣細胞やタニサイトに存在するPGFS IIは中心管腔を満たす脳脊髄液中に豊富に存在するPGD_2を基質として9α,11β-PGF_2の合成に役割を担っているのかもしれない。
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Research Products
(5 results)