2006 Fiscal Year Annual Research Report
核遺伝子産物MIDASによるミトコンドリア増殖機構の解明
Project/Area Number |
16790178
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
上村 尚美 日本医科大学, 老人病研究所, 助手 (60283800)
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Keywords | ミトコンドリア / ミトコンドリアDNA / ミトコンドリア病 / 分子生物学 |
Research Abstract |
ミトコンドリアは細胞の種類によりその数や形態が異なっており、同じ細胞でも外界からの刺激(食事や運動)やミトコンドリアDNAの異常によりミトコンドリアは大きく変化する。 本課題では、ミトコンドリア内部からの異常のモデルとしてミトコンドリアDNA消失細胞を用い、この細胞で発現が増加している因子として同定したMIDAS(mitochondrial DNA absence sensing factor)の解析を行っている。昨年度までの解析により、MIDASは、mtDNAの障害により発現が誘導され、ミトコンドリア膜、特にカルジオリピンの量を調節している因子であることが明らかとなった。 本年度は、MIDASの細胞内局在を中心に解析を行った。HeLa細胞を免疫染色したところ、MIDASは大部分がミトコンドリアに局在し、一部はゴルジ体に局在することが示された。一方、マウスの肝臓から単離した初代肝培養細胞を抗MIDAS抗体で染色したところ、大部分が細胞質に存在していることがわかった。成体マウスの肝細胞は、ほとんど細胞分裂をしていないという特徴がある。そこで、四塩化炭素の投与により急性肝障害を起こさせ、肝再生(細胞分裂)を促したところ、MIDASはミトコンドリアに局在するようになった。 以上の結果より、MIDASは増殖が盛んでない細胞では細胞質に存在し、細胞が増殖を開始するとミトコンドリアへ移行することが明らかとなった。昨年度までの結果と合わせると、MIDASは、mtDNAの障害により発現が誘導され、また、細胞の状態(増殖)により局在が変化し、ミトコンドリアの量を調節している因子であることがわかった。
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