2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の機械的刺激受容プロセス中心分子の探求と細胞骨格系を中心とした応答機構の解明
Project/Area Number |
16790179
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
東端 晃 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙環境利用科学研究系, 助手 (30360720)
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Keywords | 機械的刺激 / 低分子量Gタンパク質 / 細胞骨格 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本研究では、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)における機械的刺激受容プロセスについて、その中心となる分子の探求と刺激受容の過程において重要な役割を果たすと考えられる細胞骨格形成に関わる分子群の発現変化を解析した。重力方向変化による機械的刺激負荷環境で血管内皮細胞を用いたこれまでの研究で、Rho活性化因子(Rho-GEF)の発現量低下、それに伴うRhoの活性化減少とアクチンストレスファイバーの形成不全が起こることを明らかにしており、機械的刺激一般が同様な変化を引き起こすかどうか確認するため、細胞に伸展刺激を負荷(伸展率20%、伸展周期1秒)し、アクチンストレスファイバー形成に関わる分子の遺伝子発現変化を経時的について分析した。特にアクチンストレスファイバー形成を促進するとされる、低分子量Gタンパク質Rhoを中心としたシグナル伝達に関連した分子群につき、リアルタイムPCR解析を行った。その結果、伸展によってRhoおよびそのエフェクターのひとつであるRhoキナーゼの発現に変化は見られなかった。また、Rhoを活性化するRho活性化因子(Rho-GEF)群の発現は伸展刺激負荷直後(負荷5分後)に発現量が急激に上昇し、時間を追って減少した。さらに、機能が不明であるがもうひとつのRhoエフェクターであるPKNが、Rho-GEFの発現上昇後に発現のピーク(負荷30分後)を向かえ、その後減少することを見出した。これらは、Rho-GEFの発現量が上昇することに伴い、Rhoが活性化されPKNによるリン酸化が活性促進されることを示しており、以上結果から伸展刺激と重力方向変化による機械的刺激の入力は異なり、それに引き続くシグナル伝達経路も異なることを明らかにした。さらに、アクチンストレスファイバーの形成促進には、PKNの活性化も関与を示唆する結果が得られた。
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