2004 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンの認知・記憶に対する影響とその生理メカニズム
Project/Area Number |
16790182
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
水野 誠 新潟大学, 脳研究所, 助手 (20345515)
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Keywords | プロスタグランジン / 行動学 / シクロオキシゲナーゼ / 脳内注入 |
Research Abstract |
プロスタグランジン類は、血小板凝集阻害、眼圧調節、血管弛緩、気管支収縮、睡眠誘発など多様な生理機能を有する生理活性脂質である。プロスタグランジン合成酵素類は、主に中枢神経系や生殖系に分布している。また、その産物であるプロスタグランジン類(PGD2・E2・F2α)に対する特異的な受容体もクローニングされ、脳内の異なった部位に局在することが発見されている。精神神経疾患や高次脳機能との関連については,まだ不明な点が多い。本計画では、認知行動などの脳内機能への関与を調べる目的でラットやマウスを使って、以下の実験から開始した。 まず正常ラットにプロスタグランジンの合成を阻害するシクロオキシゲナーゼ(COX)2阻害剤を投与した。阻害剤を投与した動物では、自発的運動量は影響がなく、驚愕反応とプレパルスインヒビッションも変化がなかった。COX2遺伝子欠失動物を用いた行動薬理学的研究でも、驚愕反応とプレパルスインヒビッションも変化がなかった。対して、脳内にサイトカィンを投与してプロスタグランジン合成を誘発した動物は、プレパルスインヒビッション、ラテントインヒビッションで異常を呈し、その行動異常はCOX2阻害剤投与で消失した。従って、脳内炎症に伴う認知障害についてプロスタグランジンが関与していることが判明した。 現在、ラットCOX2遺伝子を部位特異的に発現しうるlox-COX2-トランスジェニックマウスを作製し、Creマウスとの交配中である。これらの遺伝子改変マウスについても、記憶および学習の解析には空間学習、恐怖条件づけ学習、電気刺激回避学習などを実施する計画である。これにより当該責任部位や寄与する細胞種を同定したい。
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