2004 Fiscal Year Annual Research Report
βKlothoノックアウトマウスを用いた新規コレステロール代謝制御機構の解析
Project/Area Number |
16790186
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 慎二 京都大学, 医学研究科, 研究員(科学技術振興)(常勤形態) (50362512)
|
Keywords | βKlotho / Klotho / コレステロール / 胆汁酸 / Cyp7a1 / Shp |
Research Abstract |
我々はこれまでにβKlothoを欠損するマウスが(1)コレステロールから胆汁酸を生合成する経路の、コレステロール7α水酸化ヒ酵素(Cyp7a1)とステロール12α水酸化酵素(Cyp8b1)の著しい発現亢進、(2)コレステロール胆石形成に対する耐生、という表現型を示すことを明らかにし、βKlothoがコレステロール代謝において重要な役割を果たしている可能性を示してきた。本研究ではβKlotho欠損マウスの表現型をさらに詳細に解析した。βKlotho欠損マウスでは、糞への胆汁酸の排泄量が著しく増加していた。一方で、体内の胆汁酸プールサイズは、軽微にしか増加しておらず胆汁酸の腸肝循環は大きくは損なわれていなかった。これらのことから肝臓において胆汁酸合成酵素遺伝子の発現が亢進し、胆汁酸合成量が増加することが最もprimaryな表現型であると考えられた。さらに、肝臓、糞、血清中のコレステロールの量が野生型に比べて有意には変化していないことから、胆汁酸合成量が増加し、胆汁中のコレステロールに対する胆汁酸の量が増大したことがコレステロール胆石形成に対する耐性の成因である可能性が示唆された。本研究では、次に胆汁酸合成酵素遺伝子の発現亢進をもたらす機構について解析した。βKlotho欠損マウスでは胆汁酸に応答してCyp7a1とCyp8b1の発現を抑制する共通の転写因子SHPの、胆汁による発現誘導が減弱していた。また胆汁酸を餌として投与したときに、本来、完全に抑制されるはずのCyp7a1の発現が完全には抑制されなかった。一方で、Cyp8b1の発現は野生型マウスと同様にほぼ完全に抑制されたこれらの結果からβKlothoが胆汁酸によるSHPの発現誘導機構や、Cyp7a1選択的な負のフィードバック制御機構の一員として機能している可能性が示唆された.
|