2004 Fiscal Year Annual Research Report
PDGFシグナル伝達経路による腫瘍細胞増殖の日周リズム制御機構の解明
Project/Area Number |
16790194
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
小柳 悟 福岡大学, 薬学部, 助手 (60330932)
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Keywords | がん / 時間薬物療法 / 血小板由来増殖因子(PDGF) / 時計遺伝子 |
Research Abstract |
本研究は、腫瘍モデル動物を対象にがん細胞の増殖能の日内変動が正常細胞とは異なる独自のリズムパターンを刻むことの原因究明を目的としており、これまでに血小板由来増殖因子(PDGF)の受容体シグナル伝達が腫瘍細胞の増殖リズム形成において重要な役割を担っていることを明らかにした。 腫瘍細胞内におけるPDGF受容体のチロシン残基のリン酸化には、リガンドであるPDGF蛋臼の発現リズムと対応した明瞭な日内変動が認められが、PDGF受容体リン酸化阻害剤の持続的な投与により、本受容体のシグナル伝達の日内変動は消失した。また、シグナル伝達の日内変動が消失した状態においては腫瘍細胞の増殖能は正常細胞と同様のリズムパターンを示すよう変化したことから、PDGFは一日の中の特定の時間帯にシグナルを伝達することで、腫瘍細胞の増殖能に独自の日内変動を引き起こすと考えられた。 一方、PDGFの受容体を介した細胞増殖作用は、MAPキナーゼの活性化や各種細胞周期制御因子の発現促進に基づいて引き起こされるが、PDGFシグナルによる腫瘍細胞の増殖リズム形成に少なくとも数種類の細胞周期制御因子が関与していることが明らかになった。今後、これら因子のなかで最も重要な役割を担っている因子の同定と、その制御メカニズムの解明を試みる予定である。また、PDGFシグナル伝達を指標にした抗がん剤の至適投薬タイミングの設定により、効果の増強、副作用の軽減が可能になるか否かについても検証を行う。
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