2006 Fiscal Year Annual Research Report
がん免疫担当細胞におけるシアル酸受容体シグレック7と9による負の制御機構の解明
Project/Area Number |
16790196
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
池原 譲 独立行政法人産業技術総合研究所, 糖鎖医工学研究センター, 主任研究員 (10311440)
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Keywords | 糖鎖認識 / シアル酸受容体 / 免疫応答活性化 / ドラッグデリバリーシステム / 胃粘膜糖鎖発現 / 遺伝子多型 / 腹膜播種 / がん治療 |
Research Abstract |
消化器癌に発現してくるシアリルTn(STn)抗原、シアリルルイスa(sL^a)抗原やシアリルルイスx(sL^x)抗原等のシアル酸含有糖鎖の発現は予後不良と相関することが良く知られている。本研究では、腫瘍免疫系でのシグレックの意義を明かにするため、T細胞リンパ腫細胞株Jurkatにシグレック7や9を発現させてその機能解析を行った。これらの分子が、T細胞受容体刺激に対して負の制御をする事、そしてそれはリガンドとなるシアル酸結合が必要である事を、これまでに明らかにした(Ikehara Y et al.,J Biol Chem 241:43117-25,2004)。 腫瘍免疫におけるシグレックの糖鎖認識機能を明らかにする一方で、研究成果をシーズとして研究の展開を行った。その成果の一つとして、糖鎖機能を活用した全く異なるタイプのドラッグデリバリーシステム(DDS)技術基盤の開発が挙げられる。 リポソームをオリゴマンノースで被覆する事で作製した、オリゴマンノース被覆リポソーム(OML)を用いると、封入した薬剤をMφへ特異的に送達することを可能とした。Mφは、リポソーム表面糖鎖の認識によりOMLをすみやかに取り込み、引き続いて起こる活性化によって、領域リンパ組織へ遊走する。腹腔内へ投与した場合には、この遊走先は節外性リンパ組織乳斑であり、腹腔内に生じる癌転移の足がかりとなっている事が知られている部位となる。抗癌剤を封入して投与した場合には、特異的に抗癌剤を当該領域に集積する事ができる。胃癌腹腔内転移マウスモデルを用いて、OMLの薬剤送達効果を検討し腫瘍の進展を評価したところ、このアプローチによって腹腔内転移による腫瘍の進展は十分コントロールでき、胃癌の新しい治療法として有望である事を明らかに出来た(Ikehara Y et al.,Cancer Res 66(17):8740-52,2006)。
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Research Products
(9 results)