2004 Fiscal Year Annual Research Report
腺組織に発現するヒト内在性レトロウイルスのMHC抗原提示抑制機構の検証
Project/Area Number |
16790198
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
杉本 潤 琉球大学, 大学院・医学研究科, 助手 (10315476)
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Keywords | ヒト内在性レトロウイルス / 膵臓 / 甲状腺 / ポリクローナル抗体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、膵臓及び甲状腺で発現しているHERV遺伝子(ERVE1)の生体内での機能を明らかにすることである。これまでに、MHC class I複合体の抗原提示を抑制する機能が、外来性ウイルスであるHIV-1やヒトサイトメガロウイルスの翻訳産物で報告されている。さらに、内在性レトロウイルスであるERVE1のアミノ酸配列の一部に、ヒトMHC class I α3領域への類似性が見いだされたことから、ERVE1タンパクの生体内での生理機能をMHC抗原提示抑制能と仮定した。しかし、この仮説の前提として、膵臓または甲状腺におけるERVE1タンパクの存在が必要不可欠である。そこで、前年度までに作製を終了したERVE1特異的ポリクローナル抗体を用いてその検証を行った。具体的には、ヒト膵臓・甲状腺組織由来の細胞抽出液に対しウエスタンブロット法を試みた。得られるシグナルの信頼性を向上させるため、コントロールとしてERVE1遺伝子を強制発現させた細胞株の細胞抽出液を用いた。さらに、ERVE1タンパクは糖鎖修飾を受けることから、各サンプルを糖鎖切断酵素(PNGase)で処理し、タンパク質のサイズ変化を基準に検討した。 この結果、糖鎖切断酵素処理により予想される27kDaの位置に弱いシグナルを認めた。しかし、mRNAの発現が確認されていない肝臓、胎盤でも同様なバンドが確認されることから、本抗体が非特異的に反応している可能性が示唆された。作製したポリクローナル抗体の特異性または精製度が低いことが原因と考えられるが、この対策として新規の抗体を作製中である。今回の抗体作製法では、前回用いたGST融合タンパクとは異なり、抗原をERVE1アミノ酸配列由来の合成ペプチド(18アミノ酸)とした。さらに、この抗原を用いたアフィニティー精製を行うことでより特異性を上げようと計画している。
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