2004 Fiscal Year Annual Research Report
原発性胆汁性肝硬変の肝内胆管細胞培養株の樹立と病態解析への応用-微生物成分に対する胆管細胞の反応性の解析-
Project/Area Number |
16790205
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
原田 憲一 金沢大学, 医学系研究科, 講師 (30283112)
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Keywords | 原発性胆汁性肝硬変 / 培養胆管細胞 / 自然免疫 / 微生物 / Toll-Like receptor |
Research Abstract |
原発性胆汁性肝硬変(PBC)の病態形成における菌体成分の関与を検討するため、ヒト肝内胆管上皮細胞培養株(HIBEC)の樹立と胆管系自然免疫の解析を行い、本年度までに以下の成果を得た。 1.PBCの肝移植時摘出肝7症例および対照疾患として原発性硬化性胆管炎の1例、転移性肝癌(非癌部正常肝を使用)3例からHIBECを樹立した。 2.ヒト胆管細胞は少なくとも細胞膜結合型菌体認識受容体Toll-like receptor(TLR)2〜5を発現し、またTLR4関連分子(MD-2),細胞内シグナル伝達分子(MyD88,IRAK,TRAF)も発現していた。さらに、各々のTLRリガンドであるペプチドグリカン,リポタイコ酸,Poly(I:C),リポポリサッカライド,フラジェリンなどのpathogen-associated molecular patterns(PAMPs)刺激にて、HIBECのNF-κB活性化およびHIBECからの炎症性サイトカイン(TNF-α,IL-6など)や抗菌ペプチド(β-defensinなど)産生の誘導を明らかにし、ヒト胆管独自の自然免疫機構が存在していることを証明した。 3.Th1型のサイトカインであるIFN-γはヒト胆管細胞のTLR発現を亢進させ、PAMPsに対する感受性も亢進させることを突き止め、胆道系獲得免疫と自然免疫との相互作用の一端を明らかにした。 4.ヒト胆管細胞は抗炎症因子であるペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)γを発現しているが、PBCの肝内小型胆管ではPPARγの発現低下があり、さらにHIBECを用いた検討にてPPARγリガンドにてPAMPs誘導性炎症反応が抑制されることを明らかにした。生体内でのPBC胆管はPAMPsに対する感受性が亢進し、胆管病変の形成に関与していると推測され、さらにPPARγリガンドによる治療への応用も期待された。
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