2004 Fiscal Year Annual Research Report
潰瘍性大腸炎からの発癌におけるメチル化によるDNA修復遺伝子発現低下と遺伝子異常
Project/Area Number |
16790213
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
三上 哲夫 北里大学, 医学部, 講師 (90286352)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎関連腫瘍 / methylguanine DNA methyltransferase / hMLH1 / methylation secific PCR |
Research Abstract |
材料として手術材料から得られた、潰瘍性大腸炎関連の軽度異形成13病変、高度異形成13病変、浸潤癌8病変を用いた。パラフィン切片からDNAをQiagen DNA mini kitを用いて抽出した。そのDNAをbisulfite処理を行って調製した。methylguanine DNA methyltransferase(MGMT)とhMLH1のプロモータ領域に、メチル化と非メチル化(対照)に特異的なprimerをそれぞれ設定しPCRを行うことで、プロモータ領域のメチル化を検索した(methylation specific PCR)。その結果、MGMTでは、軽度異形成2/13(15%)、高度異形成0/12(0%)、浸潤癌0/8(0%)にプロモータ領域のメチル化が認められた。また、hMLH1では、軽度異形成1/10(10%)、高度異形成2/11(18%)、浸潤癌2/7(29%)でプロモータ領域のメチル化を認めた。対照として、通常の狐発性大腸癌29例でもMGMTのプロモータのメチル化を検索したが、3/29(10%)にメチル化を認めた。また、MGMTに関して、免疫染色により、その発現とプロモータのメチル化の関係を検討した。メチル化を示す例では5例中3例が発現消失を示した。それに対して、メチル化のない57症例では一例も発現消失はなかった。統計的にはメチル化と発現消失には有意な相関が認められた。これまでの結果では、潰瘍性大腸炎関連癌ではメチル化の頻度は少ないが、通常の弧発性大腸癌との差は不明瞭である。今後、通常の弧発性大腸癌で高頻度のメチル化報告されているp16,E-cadherinのプロモータに関しても、解析を進めていく予定である。
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