2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外マトリックスペプチドによる細胞遊走と増殖の解析
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16790233
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
望月 早月 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80365428)
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Keywords | 細胞外マトリックス / マトリックスメタロプロテアーゼ / 心筋梗塞 / 細胞遊走 / マクロファージ |
Research Abstract |
我々は、心筋梗塞におけるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)により分解された細胞外マトリックスペプチドの役割について研究を行った。 まず、マウス心筋梗塞モデルを用いた実験からMMP-2ノックアウトマウスやMMP-2選択性阻害剤を投与したマウスでは、壊死心筋部位へのマクロファージ浸潤が抑制され、急性心筋梗塞の予後が改善されることを見出した。次に免疫染色やイムノブロット法により、心筋梗塞部位でMMP-2の活性上昇と細胞外マトリックス成分であるラミニンとフィブロネクチン分解が促進しており、MMP-2ノックアウトマウスやMMP-2選択性阻害剤を投与したマウスでは認めらないことが明らかになった。またインベージョンチャンバーを用いた浸潤アッセイでは、心筋梗塞部位をスライスした心筋に対してマクロファージの浸潤は促進するが、非梗塞部の心筋やMMP-2ノックアウトマウスやMMP-2選択性阻害剤を投与したマウスの心筋に対してマクロファージの浸潤は認められなかった。さらにマクロファージをあらかじめ、ラミニンやフィブロネクチンのペプチドで処理すると心筋梗塞部位の心筋に対してマクロファージの浸潤が抑制された。 以上のことから、心筋梗塞の壊死心筋部位へのマクロファージの浸潤は、心筋梗塞後に活性が上昇したMMP-2がラミニンやフィブロネクチンを分解し、その分解されたペプチドがマクロファージの浸潤を誘導することにより起こると考えられた。
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