2005 Fiscal Year Annual Research Report
MALTリンパ腫発症に関わる樹状細胞とT細胞の研究
Project/Area Number |
16790236
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
森 眞一郎 関西医科大学, 医学部, 講師 (60330205)
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Keywords | 樹状細胞 / MALTリンパ腫 |
Research Abstract |
研究実績 【方法】 2例の初発未治療唾液腺MALTリンパ腫患者(抗核抗体陽性、抗SS-A抗体陽性)の末梢静脈血を採取し、末梢血樹状細胞(Dendritic cell : DC)を単離した後フローサイトメーターを用いて末梢血DC数と性状を解析した。病変部組織ではリンパ球、DC、サイトカインに対する特異的抗体を用いて免疫組織化学染色を実施した。さらにFISH法を用いてt(11;18)(q21;q21)転座の有無を検討した。 【結果】 末梢血DC総数は、健常人対照に比較し低下していた。DC亜群の解析では、CD11c^+DCが減少していた。免疫組織染色では、腺組織の破壊が認められ炎症細胞浸潤領域に多数のfascin陽性DCを検出した。炎症細胞の性質は、T細胞が優位であるがB細胞も検出された。Fascin陽性DCの表現型は、CD1a^-、DC-LAMP^+であった。CD3陽性T細胞とFascin陽性DCの二重染色を実施した。Fascin陽性DCの周囲に接合するCD3陽性T細胞を多数検出した。IL-4、IL-12、IFN-γによる免疫染色では、IL-4、IFN-γ陽性細胞が多数検出された。サイトカイン分泌細胞の局在を検討するため、CD3、CD20、fascinによる二重染色を実施したが分泌局在は検出できなかった。t(11;18)(q21;q21)転座は検出しなかった。 【考察】 初発未治療唾液腺MALTリンパ腫において、病変部へのDC集積と末梢血DCの総数低下および骨髄系DCであるCD11c^+DCの減少が明らかとなった。前病変であるシェーグレン症候群において我々のグループは同様の結果を報告をしている(Arthritis Rheum 2001,44:419)。この結果より、慢性炎症の過程を経てMALTリンパ腫発生後も末梢血中から唾液腺病変へのDCの動員、集積が継続していることが明らかとなった。
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