2004 Fiscal Year Annual Research Report
粥状動脈硬化病巣における新規エンドセリン発現上昇のメカニズム
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16790239
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
馬渡 一諭 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (40352372)
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Keywords | Atherosclerosis / Endothelin-1 / ET-1(1-31) / Chymase / Inflamation / Hamster / Aorta / Nitric Oxide |
Research Abstract |
ヒトの肥満細胞で産生されるキマーゼが31アミノ酸のエンドセリンET(1-31)を産生する。従来のエンドセリンET-1(1-21)と比較してET-1(1-31)の血管収縮作用は数十分の一程度であったが、動脈硬化に関係のある血管平滑筋細胞の増殖作用はほぼ同程度であった。ET-1(1-21)は粥状動脈硬化に強く関与しているとの報告があるが、ET-1(1-31)については明確ではない。私達はヒトと同様の生理活性を有するハムスターを用いて研究を進めてきた。まず、ハムスターのキマーゼがET-1(1-31)を産生することを確認した(Life Sciences,2004.に報告)。次に、ハムスターへ高脂肪食と一酸化窒素合成酵素阻害剤を組み合わせて摂食投与することで、粥状動脈硬化の初期病変(軽度の内膜肥厚)とさらに高度に進行した病変(強い炎症に伴う高度の内膜・中膜・外膜肥厚)をもつモデルを作成した。この進行度の異なる動脈硬化モデルを用いてET-1(1-31)の発現を検討すると、正常な血管でほとんどみられなかったが、初期病変でようやくみとめられ、高度に進行した病変では急激に発現が上昇していた。その発現上昇は従来のET-1(1-21)に比し顕著であった。発現部位を詳細に検討すると、高度に進行した病変で、ET-1(1-31)の局在は血管壁全体へ浸潤した炎症系の血球細胞(組織球、単球など)で強い発現を認めた。よって、ET-1(1-31)は炎症の進展に伴って上昇することから、動脈硬化症の病態や進行に関与することが示唆された(Atherosclerosis,2004.に報告) これから、キマーゼ活性を含めた炎症関連の分子をターゲットに、ET-1(1-31)の発現上昇のメカニズムをさらに明確にしていくと伴に、ET-1(1-31)の発現上昇が血管壁にどのような影響を与えているか検討していく。
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Research Products
(2 results)