2004 Fiscal Year Annual Research Report
癌胎児性抗原(CEA)の分泌における酵素GPI-PLDの意義
Project/Area Number |
16790240
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Research Institution | Kagawa Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
山本 康子 香川県立保健医療大学, 保健医療学部・臨床検査学科, 助手 (00331869)
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Keywords | 癌胎児性抗原 / 酵素GPI-PLD |
Research Abstract |
種々の癌で高値を示す腫瘍マーカーとして臨床で汎用されている癌胎児性抗原(carcinoembryonic antigen ; CEA)は、免疫グロブリンスパーファミリーに属する分子量約18万のGPIアンカー型糖蛋白質である。その構造よりCEAは、酵素GPI-PLD(Glycosylphosphatidylinositol-phospholipase D)により細胞膜上から切断れると考えられている。今回我々は、大腸癌細胞株を用いてGPI-PLDの酵素活性の変化がCEAの細胞膜からの切断に関与しているかを検討した。GPI-PLDの活性化剤(suramin)と抑制剤(phenanthroline)をそれぞれ大腸癌細胞株に作用させ、培養上清中のCEA量を測定した。大腸癌細胞株においてCEAとGPI-PLDをともに発現している細胞株にのみCEAの分泌量の変化が認められた。さらに細胞膜からの分泌が亢進した細胞では、運動能の亢進が認められた。細胞膜上のCEAはホモタイプな接着分子として働いていることが知られており、細胞膜上からのCEAの分泌亢進はすなわち細胞同士の接着を切断することになると考えられる。GPI-PLDの活性化剤を作用させた細胞では、培養上清中のCEA分泌量の増加に伴い、細胞膜上のCEA発現量が減少していた。CEAの細胞膜上からの切断が細胞の運動能に関与し、ひいては癌の悪性度に関与していると考えられる。
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