2004 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカトリパノソーマミトコンドリア末端酸化酵素キノール酸化反応の分子機構
Project/Area Number |
16790244
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂元 君年 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50361465)
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Keywords | トリパノソーマ / シアン耐性末端酸化酵素 / アスコフラノン / キノール酸化酵素 |
Research Abstract |
本研究はアフリカトリパノソーマの寄生生活下でのエネルギー収支を調節しているシアン耐性末端酸化酵素(TAO)のキノール酸化反応の分子機構を解明することを目指し、大腸菌で発現させた組み換えTAOを用いて詳細な機能解析を行うものである。 既に報告されている大腸菌での大量発現系で得られた大腸菌の膜画分は凍結保存、融解後、凝集し沈殿を生じやすく、けん濁液の透明度が低いという欠点があった。そのため詳細な酵素学的解析が困難であった。これらの特性を改善するために、より高収率となる発現系の最適化を行い、さらに大腸菌の外膜成分との分離を試みた。培養については、各ステップの培養時間の最適化、発現誘導に用いるIPTGの濃度を検討することで、同容量の培養液で得られる大腸菌の量が2倍以上に増加し、得られる膜画分の酵素活性も上昇した。さらに、ショ糖密度勾配遠心により内膜画分の分離を行ったが、ヘムを持たない変異体である為、通常の大腸菌と異なり色による内膜の判定が出来なかった。そこでキノール酸化活性およびウエスタンブロットを指標に分画し、透明度の高い内膜画分を得るプロトコールが完成した。ここで得られた内膜画分は、以前得られていたニッケルカラム精製後以上の比活性を示し、当初問題になっていた凝集性、濁度は完全に解決された。この膜画分を用いて、アスコフラノン誘導体による構造活性相関を展開した。アスコフラノンには不斉炭素を有するフラノン環が存在するが、この構造を欠如し、側鎖が直鎖構造になった誘導体がアスコフラノンと同等の阻害活性を示した。活性の本体と考えられるフェノール環の置換基については、メチル基またはクロロ基を取り除くことで、それぞれ約10倍、100倍の活性低下を引き起こし、得にクロロ基の重要性が示された。
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