2004 Fiscal Year Annual Research Report
ネズミマラリア感染における自己抗体誘導の役割と胸腺外分化T細胞との関連について
Project/Area Number |
16790246
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
|
Keywords | ネズミマラリア原虫 / 胸腺外分化型T細胞 / 自己抗体 / 抗赤血球抗体 / サイトカイン / CD5^+B細胞 / ヘマトクリット値 / 網状赤血球 |
Research Abstract |
マラリア原虫に対する感染防御は胸腺内分化型T細胞による細胞性免疫と液性免疫機構により担われることが多くの研究者によって明らかにされている。しかしながら、近年、胸腺外分化型T細胞、(NKT細胞群の一部)が、自然免疫すなわち初期感染防御のみならず、マラリア感染防御においても重要であることが明らかになった。液性免疫機構を担うマラリア抗原特異的抗体は感染後期に上昇する。一方、感染に伴う自己抗体は初期に胸腺外分化型T細胞の増加に伴って誘導されるが、マラリア感染では顕著な自己免疫様病態形成は見られていない。このような感染により誘導される自己抗体の役割については不明な点が多い。これまでの結果から、自己抗体は胸腺外分化型T細胞と共にマラリア感染防御に関与することが想定され、C57BL/6マウスにネズミマラリア原虫Plasmodium yoelli 17XNLの赤内型を感染させる系を用いて解析を行った。 (1)primary infectionにおけるparasitemiaは50%まで上昇し、約3週間で原虫は血中から排除された。一方、secondary infectionではparasitemiaは0.3%を示したに過ぎず、5日目で原虫は排除された。 (2)primary infectionではIgGとIgM型の抗DNA抗体の上昇が見られると共にNK1.1^+とNK1.1^-のNKT細胞群が増加した。 (3)血中のサイトカイン産生ではIFN-γとIL-4が共に上昇し、Th1あるいはTh2細胞活性化の偏りは認められなかった。 (4)自己抗体産生細胞(CD5^+B細胞)の亜群と考えられるB220^+CD3^+細胞が脾臓で増加した。 (5)secondary infectionでは、原虫が排除された後、ヘマトクリット値の減少と網状赤血球の増加が認められた。 これらの結果から、感染により抗赤血球抗体が誘導され、感染赤血球を破壊し原虫の排除にあたることから、マラリア特有の貧血症状が呈される可能性が示唆された。
|