2006 Fiscal Year Annual Research Report
シアン耐性キノール酸化酵素を標的とした新規抗クリプトスポリジウム薬開発
Project/Area Number |
16790247
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 高史 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助手 (70305530)
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Keywords | クリプトスポリジウム原虫 / シアン耐性呼吸 / マウス / アスコフラノン / 抗生物質 / クリプトスポリジウム症 |
Research Abstract |
本研究は申請者が治療薬の存在しないクリプトスポリジウム症の病因原虫C.parvumのゲノム上にalternative oxidase(CpAOX)遺伝子の存在を見出し、その組み替えタンパク質に実際に酸化酵素活性を確認したことを背景として、CpAOXに対する特異的阻害剤アスコフラノンによる新規化学療法の可能性を探索するのが本研究の目的である。さらにゲノムプロジェクトの進展により本原虫のゲノム上には活性を持つ他の酸化酵素は存在しないと推定された。従って、他の酸化経路を考慮する必要はないと考えられた。そこで阻害剤アスコフラノンにより、原虫の生育を阻害できるか以下の検討を昨年度までのin vitro培養細胞を用いた解析に加えて最終年度である本年度は動物実験として感染マウスの治療実験を中心に行った。 動物実験のモデルとして、SCIDマウスを用い、C.parvumオーシスト10^6を感染させ、糞便中にオーシストを確認後、100mg/kgのアスコフラノンを経口的に3日連続投与を行った結果、投与開始8-10日後に4匹のマウス全てがオーシスト陰性になった。その後の経過で1匹はオーシスト排出が再発したが、残りの3匹は60日後まで陰性であり、治癒されたと判断された。これらをさらに詳細に解析を行うと糞便中のオーシスト濃度がグラムあたり10^5を越えるものは再現性よくオーシストの排出を続けることが明らかになった。逆にオーシストの量がそれ以下の場合はアスコフラノン単独でクリプトスポリジウム症の治療を行いうることが明らかになった。従って、治療薬のない本症に対してアスコフラノンが効果的な薬剤である可能性が大きく示されたが、実際にヒトの治療の際にどのような用量、用法で効果があるのかアスコフラノンの体内動態解析とより定量PCR法の改良等により、定量性のある方法でオーシスト量を判定する方法の開発を進めていくことが実用に向けての課題と考えられる。
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