2004 Fiscal Year Annual Research Report
Lonプロテアーゼによる緑膿菌のタイプIII病原蛋白分泌機構の制御に関する研究
Project/Area Number |
16790252
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高屋 明子 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (80334217)
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Keywords | 緑膿菌 / Lon / Lon2 / LVFX / タイプIII分泌蛋白質 / クオラムセンシング |
Research Abstract |
代表的な日和見感染症原因菌である緑膿菌は既存の抗菌薬に対して自然耐性などを示すことから、その性状を解明した上での有効な抗緑膿菌薬の開発が望まれている。我々は大腸菌やサルモネラのLonプロテアーゼが薬剤感受性に影響する因子また病原性発現制御因子であることを見出しており、緑膿菌のLonに着目した。本年度は緑膿菌における2種のLonの役割を明らかにする目的で、緑膿菌PAO1株染色体上のlonおよびlon2(PA0779)遺伝子各破壊株(Δlon株、Δlon2株)および両遺伝子破壊株(ΔlonΔlon2株)を構築し、性状解析を行った。まず各ストレスに対する役割を調べた。その結果、Δlon株はフィラメント化しUV、過酸化水素に感受性化したことから、Lonが大腸菌やサルモネラのLonと同様の役割を担うことが示された。続いてフルオロキノロン剤レボフロキサシン(LVFX)に対する感受性を検討したところ、野生株、Δlon2株は0.2μg/mlまで増殖できたが、Δlon株、ΔlonΔlon2株では0.05μg/mlで増殖できなくなり、LVFXに対して著しく感受性化していた。このことから緑膿菌LonはLVFX感受性に寄与することが明らかとなった。また病原性発現に関与するタイプIII分泌蛋白質ExoS、ExoTの分泌量を野生株と比較した結果、Δlon株でExoS、ExoT量が減少、Δlon2株でExoS量が減少していた。このことからLonおよびLon2はタイプIII蛋白質分泌機構の調節に関与することが示唆された。興味深いことにΔlon株、ΔlonΔlon2株ではクオラムセンシング(QS)で制御されるピオシアニンの分泌が顕著に増加しており、LonはQSの制御に関わることが示唆された。QSは緑膿菌の病原性発現調節で最も重要であることから、Lonによる制御を解明することは重要な知見が得られると考えられる。
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