2005 Fiscal Year Annual Research Report
Lonプロテアーゼによる緑膿菌のタイプIII病原蛋白分泌機構の制御に関する研究
Project/Area Number |
16790252
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高屋 明子 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 講師 (80334217)
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Keywords | 緑膿菌 / Lonプロテアーゼ / 病原因子 / タイプIII分泌蛋白質 / クオラムセンシング |
Research Abstract |
代表的な日和見感染症原因菌である緑膿菌が病原性発現するためには、様々な病原因子が関与している。我々が昨年行った研究から、緑膿菌はLonプロテアーゼとLonと相同性の高いLonHを有しており、これらの欠損株において病原因子であるピオシアニン分泌が増加することを見出した。緑膿菌はクオラムセンシング(QS)によって多種の病原因子の遺伝子発現を調節しており、ピオシアニン産生もQSによって制御されている。そこで、LonおよびLonHがQS制御に関る可能性を考え、ピオシアニン同様QSによって制御されるヘモリシンの活性について鳥血液含有培地を用いて検討した。その結果、Lon欠損株およびLon・LonH二重欠損株の溶血活性は野生株と比較して顕著に増加していた。このことから、LonがQS制御に関ることが示唆された。ピオシアニンやヘモリシンの産生に関るQSシステムは、las、rhlである。QSを制御する因子の一つに細胞外に放出されるオートインデューサー(AI)があり、rhlのAIの量を比較したところ、野性株に比べてLon欠損株では顕著に増加していた。また、LonH欠損株は野生株よりも減少していたものの、Lon・LonH二重欠損株ではLon欠損株よりも顕著に増加していた。また、rhlの細胞内制御因子であるRhlR量を調べるため、His^6×RhlRを精製し、抗血清を作成した。作成した抗血清を用いて細胞内量を比較したところ、Lon欠損株およびLon・LonH二重欠損株では野生株と比較して顕著に増加しており、又LonH欠損株では減少していた。このことから、LonおよびLonHは緑膿菌のQSの一つrhlサーキットの制御に関っていることが明らかとなった。QSはタイプIII分泌システムの制御に関ることが報告されていることから、LonおよびLonHはQS制御を介してタイプIII分泌システム制御を行うことが考えられる。
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