2004 Fiscal Year Annual Research Report
赤痢菌の上皮細胞感染におけるオートファジー阻害機構の解析
Project/Area Number |
16790253
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 道永 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80361624)
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Keywords | 赤痢菌 / オートファジー / IcsB / VirG / Atg5 |
Research Abstract |
IcsBは赤痢菌のIII型分泌機構から分泌される新規病原因子である。透過型電子顕微鏡および共焦点レーザー顕微鏡による観察により、icsB欠損株(ΔicsB)は上皮細胞に侵入後オートファゴソームによる貪食を高頻度に受けることを我々は報告している。オートファゴゾーム形成に関与するapg遺伝子群は同定されているが、その認識機構に関してはほとんど報告がなされていない。そこで我々は赤痢菌感染におけるオートファジーによる菌体の認識およびその阻害機構の解明に焦点を絞って解析を行った。赤痢菌感染におけるオートファジーの解析をさらに詳細に行うためにatg5 KO mouse由来のMEFにΔicsBを感染させた結果、オートファジーは完全に阻害された。さらにイムノゴールド法によりΔicsBの周囲を取り囲んでいる多層の構造物にLC3が局在することが明らかになった。GFP-Atg5を発現させたBHK細胞にΔicsBを感染させたところ、菌体の一極へのAtg5の局在が観察されたことから、赤痢菌の一極に局在することが報告されているVirGとAtg5の結合性の解析を行った。その結果、VirGとAtg5の結合が認められ、さらにIcsBがVirGとAtg5の結合を競合的に阻害することが明らかになった。VirGによるオートファジー誘導能を検討するために、VirG変異株(ΔvirG)をMDCK細胞に感染させた結果ΔvirGではオートファジーが完全に抑制されることが明らかになった。これらの結果から、赤痢菌感染において観察されるオートファジーはVirGがAtg5により認識されることにより誘導され、これはIcsBによって競合的に阻害されることが明らかになった。
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