2004 Fiscal Year Annual Research Report
腸管出血性大腸菌のTTSS依存的分泌タンパク質の網羅的検索
Project/Area Number |
16790254
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
児玉 年央 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (20346133)
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Keywords | 腸管出血性大腸菌 / 3型分泌装置 / エフェクター / locus of enterocyte effacement(LEE) / attaching and effacing lesion |
Research Abstract |
locus of enterocyte effacement(LEE)領域にコードされる3型分泌装置依存的なエフェクターの解析 腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia coli ; EHEC)のlocus of enterocyte effacement(LEE)領域にコードされる既知のエフェクター遺伝子欠損株(ΔespA、ΔespB、ΔespD、Δtir)と3型分泌装置遺伝子欠損株(ΔescN)の培養上清の分泌タンパク質をプロテオミクス解析結果、2つの遺伝子(Ecs1812、Ecs3858)を同定した。まず、腸管出血性大腸菌、腸管病原性大腸菌および腸管侵入性大腸菌における3型分泌装置遺伝子(escN、invE)とEcs1812およびEcs3858遺伝子の保有状況をPCRで解析した。その結果、腸管出血性大腸菌ではescN遺伝子陽性23株すべて(100%)、腸管病原性大腸菌8株中6株(75%)が両遺伝子を保有していた。さらに、Ecs3858遺伝子はinvE遺伝子陽性腸管侵入性大腸菌では10株中すべてでが陽性(100%)であり、両遺伝子は3型分泌装置陽性病原大腸菌によく保存されていた。両遺伝子欠損株を作製し、attaching and effacing lesion形成能を検討したところ、attaching and effacing lesion形成に影響を及ぼさなかった。次に、それぞれの蛋白に対するウサギ抗体を作製し、3型分泌装置依存的な分泌を免疫学的手法で確認した。Ecs1812についてはさらに3型分泌装置依存的な感染細胞への移行も確認した。その結果、Ecs1812は感染細胞の菌定着部位の細胞膜分画に局在した。さらに細胞膜画分に移行したEcs1812はEHECが分泌したものと比較してSDS-PAGE上の移動度が高分子側にシフトしており、宿主細胞内で何らかの修飾を受けていることを見いだした。Ecs3858の機能を解析するためにEcs3858を細胞内で発現させたところ、Ecs3858は既知の核移行シグナルがないにも関わらず核に局在するのが見いだされ、発現細胞にアポトーシスを誘導した。 第2のTTSSによって分泌される新規エフェクターの検索 第2のTTSS遺伝子とLEE領域のTTSS遺伝子の二重欠損株作製した。現在、この株を用いて分泌タンパク質のプロテオミクス解析を行っているが、新規エフェクターの同定には至っていない。
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