2004 Fiscal Year Annual Research Report
腸管出血性大腸菌O157の病原性遺伝子群の発現における外来性tRNAの役割
Project/Area Number |
16790257
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
小椋 義俊 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 助手 (40363585)
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Keywords | 大腸菌 / O157 / tRNA / 翻訳 |
Research Abstract |
腸管出血性大腸菌O157のゲノムに非病原性大腸菌K-12には存在しない3種類の外来性tRNA(ileZ-argN-argO)が見いだされたので、これらの機能解析を行った。まず、それぞれのtRNAがO157細胞内で発現しているかを調べるため、それぞれに特異的なプローブを設計・合成し、大腸菌K-12株をネガティブコントロールとして、O157での発現の有無をノーザンハイブリダイゼーションで解析した。その結果、O157でのみ各tRNAプローブによるバンドが1本検出された。また、そのサイズから、いずれのtRNAもプロセッシングを受けた状態で存在していると考えられた。 tRNAは成熟するために、プロセッシングに加え種々の塩基が修飾される。ileZはATAコドンを認識するためにアンチコドンCAUのCがリシジンに修飾される必要があるが、O157から精製したileZを薄層クロマトグラフィーで展開し、修飾の有無を調べたところ、リシジンの修飾が確認できた。 以上の解析から、各tRNAはO157細胞内で機能している可能性が高いと考えられたので、次に、それぞれがtRNAとして機能するかを検証するための準備実験を行った。各tRNAはK-12には存在しないtRNAであり、予想される認識コドンはK-12において極めて使用頻度が低い。そこで、K-12細胞内で各tRNAを発現させ、対応するコドンを多く含む遺伝子の翻訳効率が上昇するかを解析する実験を計画した。まず、3種のtRNAはオペロンで存在しているので、そのオペロンごと低コピー数のプラスミドにクローニングし、K-12で発現させた。K-12細胞内でもO157細胞内と同様に各tRNAはプロセッシングを受け、ileZはリシジン修飾を受けていることが確認できた。現在、その細胞に各tRNAが認識するコドンをタンデムに挿入したlacZ遺伝子を導入し、各tRNAの有無でLacZの翻訳効率が変化するかを解析中である。
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