2005 Fiscal Year Annual Research Report
微生物成分に対する自然免疫応答を癌が増強するメカニズムの解析
Project/Area Number |
16790268
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
志馬 寛明 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 研究員 (70372133)
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Keywords | TLR / 癌 / 免疫増強 / BCG-CWS / IL-23 / 自然免疫 / PAMP / IL-12 |
Research Abstract |
様々な微生物成分(pathogen-associated molecular pattern;PAMP)によるToll-like receptor (TLR)を介した自然免疫の活性化は、感染防御において非常に重要である。さらに癌患者において免疫賦活化剤として使用することによって、癌の排除にも役立つことが示されている。申請者は、肺癌細胞株の培養上清にTLRシグナルを増強する活性があることを見出した。本研究では、免疫増強因子の同定と作用機構の解析を行った。 PAMPであるウシ型結核菌細胞壁成分bacillus Calmette-Guerin cell wall skeleton (BCG-CWS)や、ペプチドグリカン、LPSを健常人末梢血から単離した単球に作用させると、IL-12/23p40やIL-23p19の発現が誘導される。このとき肺癌細胞株の培養上清を添加しておくと、それらが強く誘導されることが分かった。培養上清を分画し活性を調べた結果から、増強因子は複数存在することが示唆された。PAMP刺激で単球から分泌されるp40のタンパク量を指標に肺癌細胞株の培養上清から精製し、同定したところ、増強因子は増殖因子結合タンパク質の一つであることが分かった。また、肺癌細胞株が分泌するGM-CSFが単球に作用し、TLR2の発現量を上昇させることによってシグナルが増強されることが分かった。さらに、タンパク成分以外についても解析し、低分子量の増強因子を同定することができた。この因子はTLR刺激で誘導されるIL-23p19の発現を特に増強し、IL-23の分泌量を増大させた。以上、本研究により、肺癌細胞株の培養上清が示す自然免疫応答増強活性には、少なくとも3つの因子が関与することが示唆された。現在、以上の成果の論文投稿、および低分子量増強因子の特許出願に向けて準備中である。
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