2004 Fiscal Year Annual Research Report
カポジ肉腫関連ヘルペスウイルスの潜伏期関連核抗原の翻訳後修飾に関する研究
Project/Area Number |
16790269
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤室 雅弘 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (20360927)
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Keywords | ヘルペス / ウイルス / カポジ肉腫 / プロセッシング / 潜伏感染 / がん / SUMO / 翻訳後修飾 |
Research Abstract |
カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)は感染後、潜伏感染関連核抗原(LANA)を発現する。LANAは宿主細胞の核内においてウイルスDNA保持と複製、感染細胞がん化を行なう。我々はLANAの翻訳後修飾を解析する目的で、LANAのプロテオーム解析を行ない、LANAはSUMO1化修飾を受けること、またプロセシングを受けることを明らかにした。そこで、本申請研究では、LANAの翻訳後修飾の機構と生理的役割を解析した。 LANA分子をN末端部、中央部、C末端部に分けて発現させSUMO化修飾を受けるか否か解析したところ、LANAはC末端部のみでSUMO化を受けていた。そこで、C末端領域に存在する15箇所のLys残基に関して、個々の点変異体を作製し、それぞれのSUMO化を解析した。その結果、2箇所のSUMO化部位を同定した。LANAのSUMO化修飾の機能的意義を解析したところ一箇所のSUMO化がbata-カテニンを介するWntシグナルの活性化に必要であることが明らかとなった。 一方で、LANAはC末端領域においてプロセシングを受けることにより約24kDaのC末端断片を生じることを見出した。このC末端断片に対する抗体を作製し、このC末端断片は細胞質に局在することが明らかとなった。さらに、MALDI-TOF/MSを用いたC末端断片に対する結合タンパク質の網羅的解析により、複数の新規LANA結合タンパク質を同定した。いずれの結合タンパク質も、細胞質におけるbeta-カテニンの安定性に影響を与えうる分子であり、これらの分子とLANAのC末端断片の機能的相互作用を解析することにより、KSHVによるLANAを介した未知の発がんメカニズムが解明されるものと期待される。
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Research Products
(5 results)