2005 Fiscal Year Annual Research Report
カポジ肉腫関連ヘルペスウイルスの潜伏期関連核抗原の翻訳後修飾に関する研究
Project/Area Number |
16790269
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤室 雅弘 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (20360927)
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Keywords | プロテアーゼ / 翻訳後修飾 / プロセッシング / 抗原提示 / 分解 |
Research Abstract |
カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)は1994年に分離同定されたγ-ヘルペスウイルスで、8番目に発見されたことからヒト・ヘルペスウイルス8型(HHV8)とも呼ばれる。KSHVは潜伏感染時において、潜伏感染関連核抗原(Latency-associated Nuclear Antigen, LANA)、ウイルスサイクリンD(vCYCLIN)、抗アポトーシス因子(vFLIP)を発現する。LANAはウイルスDNAの複製と維持と宿主細胞のがん化に関与する。カポジ肉腫等のKSHV潜伏感染関連腫瘍において、vCYCLINやvFLIP蛋白質はほとんど検出されず、LANA蛋白質のみの強い発現が検出される。これらの知見により、LANAは細胞障害性T細胞の標的ウイルス抗原であると考えられている。 我々はLANA蛋白質のリン酸化、ユビキチン化、SUMO-1化修飾等の翻訳後修飾の解析を行なってきた。今年度において、我々はLANAの翻訳後の分解機構について解析を行なった。その結果、LANAは細胞内でプロセッシング酵素により2つの断片に切断されることを明らかにした(切断部位は同定済み)。この切断により生じた100kDaのLANAのN末端側断片は非常に不安定であり、プロテアソームにより分解を受け、その結果生成するペプチド断片がMHCクラスI分子により提示されることが示唆された。一方、30kDaのC末端側断片は非常に安定であり、核移行シグナルを持たないため核から細胞質へと移行し、細胞質局在を示すことを明らかにしている。LANA蛋白質のプロセッシング機構の解明が、MHC分子により提示されるウイルス抗原を利用した免疫療法開発につながると考えており、さらに詳細なLANAの分解機構の解析を行なう予定である。
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Research Products
(7 results)