2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790271
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中山 英美 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (70324845)
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Keywords | HIV / SIV / 感染阻害因子 / TRIM5α |
Research Abstract |
HIV-1は、チンパンジー以外のサルのリンパ球では逆転写の過程が効率良く進行せず増殖できない。この性質はサル細胞に存在する阻害因子によるものとされている。最近、サル免疫不全ウイルスSIVmacは増殖できるがHIV-1は増殖できないアカゲザルのTRIM (tripartite motif) 5alpha遺伝子を発現させた細胞は、HIV-1に対する感染感受性が低下することが報告された。一方、研究代表者は、アフリカミドリザル由来のCV1細胞は、HIV-1のみならずSIVmacの感染感受性も低いことを明らかにしており、アフリカミドリザル由来のTRIM5alphaの性質を明らかにすることにした。 アフリカミドリザル由来のTRIM5alpha配列は、CV1由来、Vero由来いずれも60塩基の重複による20アミノ酸の挿入が認められた。この重複は、報告されたアカゲザルおよびヒトの配列や、我々の決定したカニクイザルの配列には見られなかった。ヒトTRIM5alphaを発現させても、HIV-1の感染効率に変化はみられなかったが、アフリカミドリサル由来あるいはカニクイサル由来TRIM5alphaを発現した細胞では、HIV-1の感染効率は著明に低下したことから、アカゲザルのものだけでなく、アフリカミドリザルとカニクイザルのTRIM5alphaにもHIV-1感染阻害効果があることがわかった。一方、SIVmacの感染に対しては、アフリカミドリザルのTRIM5alphaは阻害を示すが、カニクイザルのTRIM5alphaは阻害を示さなかった。しかし、カニクイサル由来のTRIM5alphaの、上記20アミノ酸の挿入を含む断片をCV1由来のものに入れ替えたキメラTRIM5alphaを発現させた細胞は、SIVmacに感染抵抗性となり、アフリカミドリサル特有の20アミノ酸の重複を含む80アミノ酸の領域が、SIVmac感染抵抗性を決定していることが明らかとなった。
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