2005 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルス非構造蛋白複合体のウイルス複製に対する役割の解明
Project/Area Number |
16790272
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
扇本 真治 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (80292853)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 非構造蛋白複合体 / ウイルス複製 |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)の培養細胞での効率的な複製系が確立されていなかったため、HCVの複製の機構はあまりよく解析されていない。主に培養細胞に発現プラスミドでHCV非構造蛋白(NS蛋白)を発現させる実験でNS3からNS5が複合体を形成し小胞体膜に存在することが示され、また、この複合体形成はHCVの複製に重要であると考えられている。しかし、このNS蛋白複合体のHCV複製に対する役割は直接的には証明されていない。本研究はHCVレプリコンの複製しているHuh7細胞を使ってNS蛋白複合体のHCV複製に果たす役割を明らかにする事を目的とする。現在までの研究でそれぞれのNS蛋白の相互作用部位、酵素活性部位及び小胞体膜への貫通部位が示唆されているので、NS蛋白の酵素活性部位及び小胞体膜への貫通部位を欠損させた変異体をGreen fluorescent protein(GFP)との融合蛋白として発現するプラスミドを作製した。NS3についてはN末端3分の1を発現するものとN末端22アミノ酸を発現するコンストラクトを、NS4AについてはN末端の疎水性領域を欠く変異体を作製した。これらの変異体を発現するプラスミドをHCVレプリコンが複製している細胞に導入し、NS5A蛋白の蓄積量の変化をウエスタンブロット法で検討した。しかし、これらの変異体の発現によりNS5A蛋白の蓄積量に変化はなく、レプリコンの複製は影響されていないと考えられた。発現プラスミドによる一過性の発現では十分な効果が認められない可能性があるので、長期の発現を期待してNS蛋白変異体-GFP融合蛋白を発現するレトロウイルスを作製した。レトロウイルスベクターを使ってNS蛋白変異体-GFP融合蛋白は効率良く細胞に発現することができたが、感染後7日目まで観察してもNA5A蛋白の蓄積量に変化はなく、レプリコンの複製には影響ないと考えられた。NS蛋白変異体-GFP融合蛋白ではGFPの存在によりNS蛋白変異体が上手くほかのNS蛋白に結合できない可能性があるので、別の形のNS蛋白変異体で検討していく必要がある。
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