2004 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルス蛋白質NS5BによるIRF3活性化機構の解析
Project/Area Number |
16790273
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
仲 一仁 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70372688)
|
Keywords | C型肝炎ウイルス / NS5B / RNA依存RNAポリメラーゼ / IFN-β / TLR3 / IRF-3 / 細胞周期 |
Research Abstract |
ウイルス感染における自然免疫系の発動にはTLR3-IRF3シグナル経路の活性化によるIFN-βの誘導が重要な役割を担う.しかしながら,C型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染におけるTLR3シグナル経路の活性化機構は明らかではない.我々はヒト非癌不死化肝細胞株を用いてHCV蛋白質の細胞周期進行に及ぼす発現効果を解析し,HCVのNS5B蛋白質がTLR3-IRF3-IFN-βシグナル経路を活性化することを見いだした. まず,ヒト非癌不死化肝細胞株PH5CH8,並びにNKNT-3細胞を用いてHCV構造蛋白質コアと非構造蛋白質NS3,NS4A, NS4B, NS5A及びNS5Bの恒常的発現系を構築した.コア,NS3,NS4B,並びにNS5Aを発現するPH5CH8細胞では細胞周期の進行に異常は見られなかったが,NS5B発現細胞ではS期の進行に遅れが観察された.同様の現象はNS5Bを発現したNKNT-3細胞でも観察された.これまでに,ヒト培養細胞においてIFN-β処理によるS期進行阻害が報告されていることから,NS5B発現細胞におけるIFN-βのRNAの発現誘導の有無を検討した.その結果,NS5Bを発現するPH5CH8,及びNKNT-3細胞株においてIFN-βの産生が検出された.さらにNS5B発現PH5CH8細胞に抗IFN-β中和抗体を処理したところ,S期の進行阻害が解消された.このようなIFN-βの誘導やS期の進行阻害は,NS5B発現PH5CH8細胞にTLR3に対するsiRNAを処理してTLR3の発現を抑制すると観察されなかった. 以上の結果より,ヒト非癌不死化肝細胞においてHCV NS5B蛋白質はTLR3依存的にIRF-3シグナル経路を活性化し,IFN-βの産生を誘導すると考えられる.
|