2004 Fiscal Year Annual Research Report
アイチウイルスのゲノム複製とencapsidationの分子機構
Project/Area Number |
16790275
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
佐々木 潤 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (70319268)
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Keywords | ピコルナウイルス / ステム-ループ構造 / シュードノット構造 / 非翻訳領域 / ウイルスRNAの複製 |
Research Abstract |
アイチウイルスは急性胃腸炎関連のピコルナウイルスである。本研究はアイチウイルスゲノム5'および3'非翻訳領域の、ウイルスRNA複製とencapsidationにおける役割を明らかにすることを目的とする。本年度は、(1)RNAの複製に必要なゲノム5'末端領域領域を精確にマッピングし、その領域の二次構造を検討した。さらに(2)無細胞ウイルス産生システムを開発し、これを用いて、ゲノム5'末端領域のウイルスRNA複製における役割を詳細に検討した。 (1)ゲノム5'末端に形成される3つのステム-ループ構造がRNAの複製に必要であることはすでに示したが、今回、そのさらに下流の配列が、2つ目のステム-ループ構造のループ部分と塩基対を形成すること、シュードノット構造の形成がRNA複製に重要であること、このシュードノットを含む5'末端115塩基がRNAの複製に必要最低限のelementであることを明らかにした。 (2)Vero細胞S10抽出液にNTP、アミノ酸、K^+、Mg^<2+>等を加えて調製した無細胞複製反応液中で、ゲノム完全長cDNAクローンよりin vitroで合成したRNAから感染性ウイルスを産生させることに成功した。また、反応液中で新たに合成されるウイルスタンパク質や+鎖、-鎖RNAの検出も可能となった。このシステムを利用し、ゲノム5'末端領域領域のRNA複製における役割を調べたところ、ゲノム5'末端に形成される高次構造は-鎖RNAの合成に重要であり、一方、最も5'末端の塩基配列が+鎖RNA合成の開始に重要であることを示した。つまりアイチウイルスゲノム5'末端には、+鎖と-鎖の合成に必要な、それぞれ別々のelementが存在することを明らかにした。
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Research Products
(1 results)