2004 Fiscal Year Annual Research Report
マウスに適応した改変デングウイルス作成によるデング出血熱発症機序解析の試み
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16790276
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
田島 茂 国立感染症研究所, ウイルス第1部第2室, 研究官 (60311346)
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Keywords | デングウイルス / フラビウイルス / 感染性分子クローン |
Research Abstract |
デングウイルスにより引き起こされるデング熱・デング出血熱は、世界中の熱帯・亜熱帯地方において年間数千万〜1億人が発症していると推定され、その感染者の多さや重篤度から世界で最も深刻なヒト感染症のひとつに挙げられる。デングウイルス感染症の多くは比較的軽度の熱性疾患であるデング熱であるが、まれに出血傾向や血漿漏出を伴うデング出血熱も観察され、適切な治療が行われないと死に至る。デングウイルスによる出血熱発症機序を解明するためには、マウスなどのモデル動物の存在が不可欠である。しかしヒト以外の動物に感染させても出血熱様症状は観察されないことから、個体レベルでの解析が不可能という非常に深刻な状況にある。そこで申請者はマウスにデング出血熱様症状を引き起こすデングウイルス株の作成することを目標とし、現在はそのための基盤的研究を進めている。本年度はまず、デング1型ウイルスの感染性分子クローンおよび自己複製可能なレプリコンクローンの構築を試み、ともに成功した。感染性分子クローンを用い、最近申請者の所属する研究室で見つかったデング1型ウイルスゲノム上の3'非翻訳領域の欠失と同等の欠失を導入したウイルスを作成し、欠失の有無がウイルスの性状に及ぼす影響を調べた。しかし両者間でin vitroでの増殖性に差異は認められなかった(現在投稿中)。現在病原性やその他の性状について解析を行なっている。また今後分子クローンを用いてPCR法によりランダム変異を導入したウイルスライブラリーを作成し、マウス個体に接種し、マウスに順化したウイルスを分離できないか試みる予定である。ウイルス非構造蛋白質の1つである分泌性蛋白質NS1がデングウイルスの病態に影響するとの報告があることから、NS1をヒトおよびマウス細胞で発現させ、分泌効率や修飾状態について調べた。細胞により分泌能に差が見られたものの、動物種間で分泌能に差があるとは考えにくい結果となった。
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Research Products
(2 results)