2006 Fiscal Year Annual Research Report
Toll様受容体病原体認識機構におけるコレクチンの役割
Project/Area Number |
16790291
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
岩城 大輔 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (10315492)
|
Keywords | 自然免疫 / 補体 / レクチン |
Research Abstract |
補体活性化経路には、古典的経路、第二経路、レクチン経路の三つの経路が存在する。レクチン経路は、コレクチンファミリーに属するmannose-binding lectin(MBL)およびficolinが、生体内に侵入した病原体表層糖鎖を直接認識し活性化を引き起こす。sMAPはオルタナティブスプライシングにより生じるMASP-2の短縮型タンパク質であり、N端のCUB、EGF様ドメインを含むMASP-2共通領域とC端のsMAP特異的4残基アミノ酸配列からなる。MASP-2とsMAPは、MBL/ficolin-MASP複合体の構成成分であり、MASP-2はC4およびC2を活性化することが明らかになっているが、sMAPの機能については不明である。本研究では、sMAPおよびMASP-2の生体内における役割を明らかにする目的で、sMAP特異的4残基アミノ酸をコードするエクソンをジーンターゲティング法により欠失させてsMap^-/-マウスを作製し、解析を行なった。得られたsMap^-/-マウスは、遺伝子改変によりMASP-2の発現が著しく低下していた。sMap^-/-血清のレクチン経路におけるC4活性化能を測定したところ、固相化マンナンへのC4沈着量は野性型の20%以下であった。リコンビナントMASP-2のsMap^-/-血清への添加によりC4沈着の回復が認められたが、リコンビナントsMAPの添加ではC4沈着量は回復しなかった。作製したsMap^-/-マウスは、MASP-2の発現量が減少したことによりレクチン経路のC4活性化能が低下したと考えられる。また、sMAPとMASP-2のMBLへの結合は競合し、リコンビナントsMAPの血清への添加によりMBL-MASP複合体のC4活性化能が抑制された。以上の結果、これまで機能が不明であったsMAPが、レクチン経路の活性化制御因子として作用する可能性が示唆された。
|