2005 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアソーム活性化分子PA28による遺伝子治療モデルの作成
Project/Area Number |
16790298
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山野 武寿 独立行政法人理化学研究所, 免疫シャペロン研究チーム, 研究員 (90373381)
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Keywords | PA28 / アポトーシス / 遺伝子治療 / 癌 / プロテアソーム / カスパーゼ / インターフェロンガンマ / 酵素 |
Research Abstract |
ヒト・マウス両者の癌細胞にPA28を高発現させると細胞増殖低下・アポトーシスが誘導されることを我々は既に同定している。さらにインターフェロンガンマ(IFNγ)はPA28を高発現させるサイトカインであるが、IFNγによる細胞傷害においてPA28誘導が重要であると考えられたため、IFNγ処理とPA28遺伝子導入の両者を同時に行った場合相乗効果としてアポトーシスの増加が認められるのか検討を行った。今年度はアポトーシスの誘導を活性化型カスパーゼ3の酵素活性上昇を測定することにより検討した。IFNγ処理を行わずともPA28遺伝子導入により活性化型カスパーゼ3の活性上昇を認めた。IFNγ以外のI型インターフェロンであるIFNα,IFNβだけでなくIFNγ処理にても活性化型カスパーゼ3は活性上昇するどころか寧ろ低下を認め、カスパーゼ3の活性化に抵抗性を獲得していることが示唆された。これらの低下を認めた細胞では抗アポトーシス活性を持つNF-kBの上昇を同時に認め、この上昇がアポトーシス抵抗性(活性化型カスパーゼ3の活性上昇抵抗性)の原因と考えられた。さらにPA28遺伝子導入によりPA28を高発現させておくと、その細胞をさらにIFNγにて処理した場合活性化型カスパーゼ3の酵素活性は速やかに著しく上昇し、同時にNF-kBの上昇を認めなかった。即ちアポトーシス抵抗性を獲得出来る間もなくアポトーシスに陥ると考えられた。さらにPA28高発現マウス腫瘍はコントロール腫瘍と比べるとin vivoで容易に拒絶される。この拒絶はIFNγ欠損マウスでは消失することを認めた。このことからin vivoにおけるPA28高発現マウス腫瘍の拒絶のエフェクター分子としてIFNγが直接機能していることが示唆された。以上の結果からプロテアソーム活性化分子PA28は癌遺伝子治療の候補として有用であることが示唆された。
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