2005 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤の影響による転倒・転落と疾病の関連性についての研究
Project/Area Number |
16790305
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
藤田 茂 東邦大学, 医学部, 助手 (50366499)
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Keywords | 転倒・転落 / 向精神薬 / 睡眠薬 / 抗不安薬 / インシデント / 医療事故 / 半減期 / アクシデント |
Research Abstract |
平成17年度は,東邦大学医療センター大森病院(ベッド数約1000床の特定機能病院)において,2001年3月から2003年12月までの間(34ヶ月間)に発生した転倒・転落(入院例・704件)のうち,向精神薬が処方され,影響を及ぼしたと考えられる事例222件について分析した. 特に、向精神薬の半減期の長短と,患者の転倒・転落の発生時間との関連性について分析した結果,半減期が4時間未満の向精神薬は,眠前(21時前後)に服用された直後から,午前2時頃にかけて,転倒・転落の発生数が多かった.また,半減期が6〜7時間の睡眠薬と抗不安薬は,眠前に服用後,午前0時頃から4時頃にかけて,転倒・転落が多く発生した. これまで,半減期の長い向精神薬は,転倒・転落のリスクが高いとされていた.しかし,既に報告したとおり,向精神薬の最高血中濃度到達時間に着目し,血中濃度が急激に上昇する薬剤の方が転倒・転落のリスクが高いことを明らかにした.今回は,服用させた薬剤の半減期の長さにより,転倒・転落を注意すべき時間帯が異なり,なおかつその時間帯は半減期の数値そのものと同等ではないことが確認された.また,眠前の睡眠薬や抗不安薬は,どの薬剤もほとんどの患者に対し「1錠」処方されているが,高齢者への与薬量を再検討する必要があると考えられた. また,平成17年度より,データの収集範囲を広げ,複数の医療機関からの情報収集を開始した.データ数を増やし、再度分析しなおすことにより、これまでの研究成果の信頼性を高めることが目的である。
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