2004 Fiscal Year Annual Research Report
胃酸およびペプシン分泌調節におけるプロスタグランジンE/EP受容体の役割
Project/Area Number |
16790312
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
加藤 伸一 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (90281500)
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Keywords | プロスタグランジン / EP受容体 / 胃酸分泌 / ペプシン分泌 |
Research Abstract |
本年度は主としてラットを用いたin vivo実験系において、胃酸およびペプシン分泌の調節におけるプロスタグランジン(PG)E2およびEP受容体の役割について検討し、以下の結果を得た。 1.ヒスタミンおよびペンタガストリン誘起胃酸分泌反応はPGE2およびsulprostone(EP1/EP3作動薬)の投与により用量依存的に抑制されたが、EP2およびEP4作動薬によっては影響を受けなかった。Sulprostoneの酸分泌抑制作用はEP1拮抗薬存在下においても認められ、またヒスタミンの場合よりもペンタガストリン刺激時により顕著に認められた。PGE2およびsulprostoneはペンタガストリンによる管腔内ヒスタミン遊離を有意に抑制した。一方、迷走神経切断ラットにおいてはEP4作動薬は管腔内ヒスタミン遊離の増加と共に有意に酸分泌を増大させた。以上の結果より、胃酸分泌の調節においてPGE2は抑制および促進の二面作用を有しており、抑制作用にはEP3受容体が、また促進作用にはEP4受容体が関与していることが判明した。EP3受容体は壁細胞および腸クロム親和性(ECL)細胞の両者に対して抑制的に、一方EP4受容体はECL細胞からのヒスタミン遊離に対して促進的に作用しているものと考えられる。 2.PGE2およびEP1作動薬の投与は用量依存的にペプシン分泌を増大させたが、EP2、EP3およびEP4作動薬によっては影響を受けなかった。PGE2のペプシン分泌促進作用はEP1拮抗薬によりほぼ完全に抑制された。以上の結果より、PGE2はEP1受容体を介して胃ペプシン分泌を促進させることが判明した。現在、酸逆流性食道炎モデルを用いて、PGE2の食道粘膜における役割ならびにペプシン分泌との関連性について検討中である。
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