2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790319
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
宮崎 賀織 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30361380)
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Keywords | 砒素 / セレン / 甲状腺ホルモン / ヨードチロニン脱ヨード酵素 / 周産期曝露 / 胎児 |
Research Abstract |
ICR系妊娠マウスに、妊娠0日目よりセレン(Se)栄養状態が異なる餌(Se:0 or 0.4mg/kg)を摂取させ、妊娠7日目から16日目まで亜ヒ酸ナトリウム(As:0 or 58umol/kg/day)を、各投与群n=7〜8とし、経口投与を行った。妊娠17日目に解剖を行い、母および胎仔より血液、脳、胎盤、肝臓組織を採取し、以下についてそれぞれ検討を行った。*すべての投与群において母体毒性(死亡、体重減少)、胎仔毒性(死亡、奇形、体重減少)は認められなかった。 (甲状腺ホルモン系の検討) 1)甲状腺ホルモン(T_4):母仔から採取した血清中の甲状腺ホルモン(T_4)濃度を測定した結果、Se欠乏状態でAsを投与した母親において、顕著なT_4濃度の低下がみられた。一方、胎仔については各群ともSe栄養状態やAs投与による変化を認めなかった。 2)ヨードチロニン脱ヨード酵素(DIs ; DI-I,DI-II,DI-III):母仔から採取した脳、肝臓、胎盤組織について、甲状腺ホルモンの代謝に重要な役割をもつヨードチロニン脱ヨード酵素(Se含有酵素の1つ)の測定を行った。母仔肝臓についてDI-I、脳ではDI-IIとDI-III、胎盤ではDI-IIIの活性を測定した。その結果、母体肝臓のDI-I活性はAs投与群で低値を示した。また胎仔脳のDI-II活性はSe欠乏状態でAsを投与した群で著しい高値を示した。胎仔肝臓(DI-I)、母体脳(DI-II,DI-III)、胎仔脳のDI-III、胎盤DI-IIIについてはSe、Asによる変化はみられなかった。 以上のように、母仔毒性が顕在化しないAs投与量において、発達期の脳の分化や成熟に重要な役割を果たしている甲状腺ホルモンやヨードチロニン脱ヨード酵素に影響を与えること、またその影響は低Se栄養状態で増大する可能性が示唆された。
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