2005 Fiscal Year Annual Research Report
スギ花粉症関連遺伝子CCケモカインレセプターの遺伝子多型に関する機能変化解析
Project/Area Number |
16790322
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
東川 史子 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (70346534)
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Keywords | ケモカインレセプター / 遺伝子多型 / スギ花粉症 |
Research Abstract |
我々のスギ花粉症に関する分子疫学研究において、CCR2とCCR3の遺伝子多型(CCR2V64I、CCR2N260N、CCR3Y17Y)に連鎖不均衡が認められた。CCR2V64IはAIDSの進行抑制や冠動脈疾患などと、またCCR3Y17Yは喘息との関連が指摘されているが、その機序は明らかではない。そこで本研究では、これらの遺伝子がスギ花粉症の原因遺伝子となっているかどうか、それぞれのプロモーター領域、翻訳領域の各多型での機能を比較検討した。 まずプロモーター領域の遺伝子多型、CCR2-41A/G、CCR3+157G/A及びCCR3+196Aによるプロモーター活性への影響を検討したところ、CCR2では変化がなかったが、CCR3では+157G/Aと+196Aの両方がVariantの場合に活性が約60%に低下した。次に翻訳領域の各Variantの発現細胞(SW480、HEK293)を用いてReal-time PCRで検討した発現量は、CCR3Y17YでWTよりも若干低い傾向にあったものの、CCR2m64m260とCCR2WT間に大きな差は見られなかった。Confocal Microscopyにて観察した発現状態も、それぞれのVariantとWTで顕著な差はなかった。アミノ酸置換を伴う変異であるCCR2V64Iの影響について、発現細胞にMCP-1を反応させた際のCCR2のチロシンリン酸化を検討したところ、多型によってリン酸化に時間的な差が見られたが、細胞内カルシウム濃度の上昇には変化が見られなかった。 このように今回検討した実験系において、翻訳領域の多型に顕著な機能変化は見られなかったが、CCR2とCCR3は染色体上で互いに近接しており、それらのプロモーター領域の多型は翻訳領域の多型と非常に良く相関していることから、プロモーター領域の多型による活性変化が疾患に関連しているのかもしれない。
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