2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝的感受性を考慮した慢性C型肝炎の進展を予防する生活習慣に関する分子疫学的研究
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16790325
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
松永 めぐみ (原 めぐみ) 佐賀大学, 医学部, 助手 (90336115)
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Keywords | 肝臓がん / C型肝炎 / 食物摂取頻度 / 遺伝子多型 / 生活習慣 |
Research Abstract |
【背景】肝炎の進展には酸化ストレスの関与が示唆され、喫煙や飲酒、肥満などの生活習慣や、薬物代謝酵素やサイトカインの遺伝子多型などの遺伝的感受性要因が報告されているが、肝炎進展を抑制する食品や栄養素、それらと遺伝的感受性要因との相互作用についての知見は十分でない。 【目的】最終年度にあたり、慢性C型肝炎の進展に関与する生活習慣と遺伝子多型との関連を検討する。 【方法】症例(肝癌)対照(肝硬変、慢性肝炎)研究の手法で、研究参加への同意を得た40〜79歳の慢性C型肝炎患者272人、肝硬変患者60人、肝癌患者87人に自記式の半定量食物摂取頻度調査票を用いた調査を行った。(平成17年度)。平成18年度は、同集団から採取したバッフィーコートよりDNAを抽出後、薬物代謝酵素などの遺伝子多型の測定をすすめた。測定方法は、Polymerase chain reactionにより多型部位を増幅し、制限酵素断端長多型などを用いて決定した。生活習慣と遺伝子多型の肝癌との関連をlogistic regression modelで検討した。また、本年度は調査施設を新たに加え慢性肝炎患者119人についても調査を終了した。 【結果】飲酒(オッズ比(OR):1.8,95%信頼区間(CI):1.0-3.0)と喫煙(OR:2.5,95%CI:1.4-4.5)は肝癌と有意な正の関連を示した。遺伝子多型と飲酒に関しては、ALDH2の*1/*1型に比べ*2/*1型では、1日3合未満の中等量の飲酒により肝癌のオッズ比上昇が見られた(OR:1.8,95%CI:0.8-3.8)。遺伝子多型と喫煙の関連ではCYPIA2の野生型でかつ喫煙者では肝癌リスクの有意な上昇(OR:4.5,95%CI:2.2-8.9)が見られた。 【考察】肝癌の最大の危険因子はC型肝炎ウイルスの感染であるが、本研究では慢性肝疾患患者を対照群に設定することで影響を除外できた。肝癌の危険因子として飲酒と喫煙があるが、薬物代謝酵素の遺伝子多型と交互作用のもとで肝癌の発生に寄与する可能性が示唆された。今後は、各種遺伝子多型の判定を進め、遺伝的感受性要因と食事由来の因子と汗顔の関連についても検討していく予定である。
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Research Products
(1 results)