2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境発癌因子の分子標的-p16とそのファミリー遺伝子の役割について-
Project/Area Number |
16790327
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
松崎 洋一郎 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (70282522)
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Keywords | 癌抑制遺伝子 / p16、p15、p18、p19 / TPA / チロシン・キナーゼ / 15-d-PGJ_2 / p15プロモーター / PPARγ / 分子標的癌予防 |
Research Abstract |
種々の環境発癌物質が、癌抑制遺伝子p16とそのファミリー遺伝子の発現に影響を及ぼすことが示されており、私達は、環境発癌物質であり発癌プロモーターとして知られるホルボールアセテート(TPA)が、p18を抑制することで細胞増殖を促進することを既に見いだしていたが、本年度の研究により、このTPAの作用は細胞内シグナル伝達機構で重要な役割を果たしているチロシン・キナーゼが関与していることを明らかにした。 また、このようなp16とそのファミリー遺伝子の発現抑制による発癌に対処するために、それらの遺伝子の発現を活性化させる物質を検索し、その結果、抗腫瘍効果を有する物質として知られている15-Δ^<12,14>-prostaglandin J_2(15-d-PGJ_2)が、p15遺伝子を活性化させることを見いだした。 HaCaT細胞において、15-d-PGJ_2は細胞増殖を抑制し、濃度・時間依存的にp15発現を誘導することが明らかとなった。15-d-PGJ_2の作用は、p15プロモーター領域上の-385〜-373の配列を介していることも明らかとなった。15-d-PGJ_2はPPARγのリガンドとしても知られているが、他のPPARγのリガンドにはp15発現誘導作用は見いだされなかったことから、15-d-PGJ_2のp15誘導作用はPPARγに非依存的であることが示唆された。 これらの研究成果は、TPAのような環境発癌因子に曝露された場合でも、15-d-PGJ_2のような抗腫瘍効果物質を用いることで発癌を予防する方法、すなわちp16ファミリー遺伝子を標的とした分子標的癌予防の開発の可能性を示唆するものである。
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Research Products
(1 results)