Research Abstract |
目的:交代勤務者を対象に,疾病休業と昼間の眠気との関連を横断的に調べた。 方法:複数の事業所に勤務する労働者を対象に自記式質問紙調査を実施した。調査票は合計3732名の労働者に配布され,合計2996名から回収された(回収率80.3%)。このうち,交代勤務の男性631名(平均37歳)と女性132名(平均42歳)を解析対象とした。調査項目は次の通り:過去1年間にとった疾病休業(含.有給休暇)の総日数と総回数,昼間の眠気(Epworth Sleepiness Scale, ESS),睡眠習慣,抑うつ(the Center for Epidemiologic Studies Depression, CES-D),基本属性と生活習慣。統計解析は疾病休業日数(0日,2日以下,2日超過)を従属変数,昼間の眠気(四分位数による分割)を独立変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った。そのさい,男性では年齢群,学歴,睡眠時間,不眠訴え,抑うつ,女性では年齢群による影響を調整した。 結果:男性では昼間の増加にともなって2日を超過する疾病休業が増加した:ESS Q2,OR 1.00,95%CI 0.46-2.15 ; ESS Q3,1.83,0.93-3.57 ; ESS Q4,2.26,1.14-4.47。また,有意ではなかったが,眠気の増加は2日以下の疾病休業の減少と関連した:ESS Q2,OR 1.00 ; 0.56-1.80 ; ESS Q3,0.83,0.45-1.53 ; ESS Q4,0.59,0.30-1.19。女性では昼間の眠気と疾病休業との有意な関連は認められなかった。 結論:男性交代勤務者では昼間の眠気が高くなると,2日を越える疾病休業をとりがちになることが判明した。昼間の眠気を心身の不調のサインとみなすと,この関連は不調への対処もしくは回復の促進を示すと思われる。一方,本研究ではそれほど明確ではなかったが,昼間の眠気が高くとも2日以下の病欠をよりとらないという関連は,不調時に本来とるべき疾病休業をとらずに,無理して出勤した可能性を示唆するのかもしれない。
|