2005 Fiscal Year Annual Research Report
新しい動脈壁硬化指標としてのAugmentation Indexの有用性
Project/Area Number |
16790336
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田原 康玄 愛媛大学, 医学部, 講師 (00268749)
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Keywords | Augmentation index / 動脈硬化 / 循環器疾患 / 予後予測 |
Research Abstract |
愛媛県下の一般企業従業員を対象に、前年度までにAugmentation index(AIx)の測定を行った約600例について追跡調査を行った。追跡調査は、心筋梗塞、狭心症、脳卒中の発症に関する調査票を6月、9月、12月の定期健診時に配布・回収することで行った。退職あるいは移籍による健診未受診者については、別に調査票を郵送した。今年度中に、心筋梗塞1例、狭心症2例、動脈閉塞1例を確認し、詳細な臨床情報を該当する医療機関で調査中である。横断面での検討では、AIから求めた圧反射波成分の腹臥位による変化について検討した。夜間睡眠に伴う血圧変化が予後予測能を示すことが知られているが、睡眠時の体位との関連は検討されていない。調査対象のうち、明らかな心血管系疾患の既往・現病のない男性336例について解析を行ったところ、腹臥位によって上腕収縮期血圧はの有意な低下を認めた(130±17-125±16mmHg, p<0.001)。AIから推定した中心血圧も有意な低下を示した(腹臥位群;119±19-115±18mmHg, p<0.001)。対象者の23.6%に腹臥位による収縮期血圧10mmHg以上の低下を認めた。一方、心拍数は、腹臥位群により有意に上昇した(63±9-67±10回/分,p<0.001)。対照とした仰臥位群では心拍数の変化を認めず(64±11-64±11回/分,p=0.357)、これら変化は両群間で有意に異なっていた(p<0.001)。橈骨動脈AIおよび中心AIは腹臥位により有意に低下したが、安静群では変化しなかった(橈骨動脈AI変化:腹臥位群;80.2±19.0-79.1±19.4,p=0.014、安静群;80.9±16.0-80.2±17.0,p=0.239、中心AIの変化:腹臥位群;137.8±23.3-135.6±23.3,p<0.001、安静群;138.2±21.1-138.1±22.2,p=0.903)。また、これらの変化は、正常血圧群に比し、高血圧群でより顕著であった。腹臥位特有の血圧変化は認められなかったが、静脈血還流量の減少によると考えられる心拍数の増加とAIの減少を来たしており、心血管系に対する負荷として作用する可能性が示唆された。次年度以降、このような横断面でのAIに関する検討を継続するとともに、心血管系疾患に対する縦断的検討も行う予定である。
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Research Products
(3 results)