2004 Fiscal Year Annual Research Report
地域における肝癌死亡率上昇の原因究明のための疫学調査-過去の肝炎流行との関連性-
Project/Area Number |
16790344
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
太田 晶子 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (20337554)
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Keywords | 肝癌 / ウイルス肝炎 |
Research Abstract |
埼玉県のM町とO町では、現在、肝癌死亡率が高いという問題がある。M町、O町では昭和35年、昭和43年頃、肝炎の流行があった。昭和44年に肝炎流行に関する疫学調査が行われており、その結果、肝炎流行には、肝炎ウイルスの関与が示唆されたことや患者発生に地域集積性があったことなどが報告されている。本研究では、現在M町・O町の肝癌死亡率の実態、肝癌死亡率が高い原因と過去の肝炎流行との関連性、現在の肝炎ウイルス感染者の実態を明らかにすることを目的とする。本年度は、M町、O町の肝癌死亡率の現状、M町、O町の肝癌、肝疾患死亡者調査、HCV、HBV感染者の実態を明らかにするための住民調査を実施した。 1 M町、O町の肝癌死亡率の現状:1979年から2001年の埼玉県保健統計年報、人口動態統計を資料として、M町、O町の肝癌死亡率を観察した。M町、O町の肝癌死亡率は1980年代から上昇しており、埼玉県全体と比べて、M町は2倍、O町は3倍ほど高かった。肝癌標準化死亡比もM町、O町において1980年代後半以降全国と比べ、1.5〜2.5倍ほど高かった。 2 M町、O町の肝癌、肝疾患死亡者調査:坂戸保健所管内の肝癌・肝疾患死亡者調査結果を利用し、肝癌、肝疾患死亡者の年齢分布、地域集積性などについて解析した。調査対象となった管内5市町の肝癌・肝疾患死亡者数は627であった。M町、O町において、過去の肝炎流行地域、その時代に肝炎が好発した世代において肝癌死亡率が高かった。 3 M町において、HCV、HBV感染者の実態を明らかにするための住民調査は、現在実施中である。
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