2004 Fiscal Year Annual Research Report
アラル海周辺地域における水と住民の健康に関する研究
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16790350
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
扇原 淳 山口東京理科大学, 基礎工学部, 講師 (20329072)
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Keywords | アラル海 / 飲料水 / 小児 / 一般細菌 / 大腸菌群 |
Research Abstract |
本研究では、アラル海周辺地域における水源および飲料水の細菌学的汚染の状況と小児の自覚症状との関連について明らかにすることを目的にした。 そこで、アラル海に近い地域内から、井戸を主な飲料水源にしている1村をケース、給水施設から給水車により飲料水を購入できる2村をコントロールとして選んだ。平成16年8月に、それぞれの村の診療所にある住民票からランダムサンプリングによって、ケースおよびコントロールから150人ずつ(9歳から15歳まで)計300人抽出し、指定した調査日に診療所にて、質問紙を用いたインタビューを行った。児童の保護者に対して、調査の概要について説明を行い、インフォームドコンセントをとった。調査は、調査項目の季節変動を考慮し、同一の対象集団に対して、平成17年冬:2月にも同一の調査を行った。 8月・300人中255人、2月・255人中218人を分析の対象とした。その結果、ケースおよびコントロール地域ともに、2月よりも8月の方が、一般細菌数および大腸菌群数ともに有意に高い値を示した。ケースおよびコントロールの間に優位な差は見られなかった。下痢や腹痛といった自覚症状についても、ケースとコントロール地域で差はみられなかった。コントロールとして選んだ地域では、飲料水購入は月に一度であり、塩素消毒の効果は期待できないことから、井戸水を利用している地域と細菌学的な汚染状況や自覚症状に差がみられなかったと考えられる。 同地域の年間を通じた衛生的な水の供給が急がれるとともに、塩素消毒処理や煮沸後に飲料すると行った教育対策の必要性が示唆された。
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