2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16790356
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
美作 宗太郎 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (50284998)
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Keywords | Cytokine / 外傷重症度 / Interleukin-6 / Interleukin-8 |
Research Abstract |
研究代表者は平成16年4月より熊本大学へ転任したため、まず熊本大学法医学講座に凍結保存されていた血清を用いてELISA法でcytokineの測定を行った。測定するcytokineの種類は、既に死体血でも安定して測定できることが確認されているInterleukin-6 (IL-6)とInterleukin-8 (IL-8)を使用した。ところで、当講座では剖検症例の血清は-30℃以下で保存されているが、検体採取後に数年間経過している血清があることから、前もってこれらがcytokine測定に耐えうるか否かを確認しておく必要があった。そこで、前任の東北大学より検体採取後数ヶ月から5年間経過した血清(既に検体採取時にIL-6,IL-8測定済み)を取り寄せて再度測定することにより長期間に及ぶ凍結保存の影響を検討した。その結果、検体採取後4年間は両cytokineとも安定して測定できることが確認された。 次に、当講座の剖検症例から外傷死症例を抽出し、これらの剖検記録を詳細に調査して解剖学的重症度であるAbbreviated injury scale (AIS)とInjury severity score (ISS)を算出しcytokine値との関連性を検討した。臨床医学分野では多発外傷などの外傷重症度の指標としてISSが用いられIL-6やIL-8の値との比較がなされているが、法医解剖症例ではISSよりAIS合計得点との相関性が高かった。法医解剖症例では個々の解剖学的な外傷重症度を単純に加算したAIS合計得点の方が外傷重症度を評価する指標として都合が良いと考えられた。 本年度は長期間に及ぶ凍結保存がcytokine測定に与える影響や、外傷死症例の解剖学的外傷重症度との関連性について解明した。次年度は総cytokine量の測定、外傷受傷後経過時間などの時間的因子の影響を解明する予定である。
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