2004 Fiscal Year Annual Research Report
構造生物学に基づいたGST‐π阻害剤の開発とそれを用いた胆道・膵癌の分子標的治療
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16790389
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
宮西 浩嗣 札幌医科大学, 医学部, 助手 (60372819)
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Keywords | 膵癌 / 胆道癌 / GST-π / 抗癌剤耐性 |
Research Abstract |
胆道癌、膵癌におけるGST-π阻害剤の抗癌剤感受性に及ぼす効果の検討 GST-π活性阻害作用が知られているsulindacの代謝産物であるsulindac sulfoneとsulindac sulfideを用いて、胆管癌細胞株(HuCCT1,CO33)、膵癌細胞株(AsPC-1,BxPC-3,PANC-1)におけるGST-π阻害による各種抗癌剤感受性の増強効果を確かめた。抗癌剤はalkylating agents, adriamycin, CDDP, VP-16に加えてCPT-11,Gemcitabineを用いた。各種濃度の抗癌剤とともに細胞を48時間培養し、dye-uptake法により生細胞数を測定して感受性を評価し、GST-π阻害を行わない対照群と比較検討した。その結果alkylating agents, adriamycin, CDDP, VP-16およびGemcitabineのIC50がGST-π阻害により、有意に低下した。次にヌードマウスの皮下にこれら細胞株を接種し、GST-π阻害によるin vivoにおける抗癌剤耐性克服効果を検討した。各種細胞株1×10^7個をヌードマウスに皮下注し、その腫瘍径が7mmとなったところをday0として、day 1,2,3およびday 8,9,10にsulindac sulfoneあるいはsulindac sulfide 20mg/kgをリポ化して尾静脈より静注し、抗癌剤はday2およびday9にGST-π阻害剤投与2時間後に腹腔内投与し、4日毎に腫瘍体積を計測した。その結果、GST-π阻害によりalkylating agents, adriamycin, CDDP, VP-16およびGemcitabineの抗腫瘍効果が有意に増強した。したがって、胆管細胞癌、膵癌においてもGST-π阻害によりこれら抗癌剤の耐性克服、作用増強が可能であると考えられた。
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