2005 Fiscal Year Annual Research Report
消化管平滑筋およびICCのギャップ結合形成におよぼす性ステロイドホルモンの影響
Project/Area Number |
16790402
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
菊田 幸子 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (10367089)
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Keywords | 消化器学 / 組織形熊 |
Research Abstract |
消化管におけるICCの役割は、ペースメーカー、興奮伝達機能の点から、しばしば心臓と対比して論じられるが、心臓においても特殊心筋線維と作動筋とでギャップ結合を構成するコネキシンのタイプが異なることは、よく知られている。また、消化管平滑筋が自動能を有する事は、古くより知られていたが、心房の洞房結節の研究で知られるKeithが、実験小動物の回盲部でペースメーカーに相当する組織を発見しようとした事は、回盲部の運動の特異性と合わせて注目に値する。これらの背景を踏まえ、今年度は、本研究の中心的検索部位を回盲部に設定し、その基本的構築を知るべくICCの分布について免疫組織化学的に検索した。尚、予備実験の結果から、各種抗体の利用の容易なモルモットを対象として使用する事とした。 モルモット回盲部における筋層の基本構造は、輪走筋(CM)と筋層間神経叢(AP)が、回腸から回盲弁の中に入り込んで行き、折り返して盲腸へと続いているのに対し、縦走筋(LM)は回盲弁の内部に入り込まずに直接盲腸へと移行し、盲腸紐を形成していた。輪走筋層内に存在するICC-CMは、隣接する平滑筋の長軸や神経線維と平行に突起を伸ばす双極性の細胞で、回腸ではまばらにしか存在しないと報告されているが、回盲部近傍で急激に増加し、回盲弁の内部や盲腸では豊富に観察された。ICC-APは、多方向に伸ばした突起によって相互に連結しながら、筋層間神経叢を籠状に取り囲む多極性の細胞で、胃体部から肛門にかけて広く分布すると報告されているが、盲腸では観察されなかった。縦走筋層内に存在するICC-LMは、ICC-CMと類似した双極性の細胞で、盲腸紐内において豊富に認められた。今回の回盲部におけるICC分布の基礎的な所見をもとに、ペースメーカーとして機能するICCサブタイプやギャップ結合の分布について、今後更に検索してゆく予定である。
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