2004 Fiscal Year Annual Research Report
新たな分化誘導法と足場構築を用いた、骨髄成体幹細胞からの心筋組織再生
Project/Area Number |
16790417
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金井 恵理 京都大学, 医学研究科, 助手 (20372584)
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Keywords | 骨髄細胞 / 心筋細胞 / 組織再生 / 肝細胞増殖因子 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、骨髄細胞からの"心筋再生"を持って実際に心不全の新しい治療戦略を開拓することにあり、初年度である平成16年度の目標は、(1)骨髄成体幹細胞からの心筋細胞分化誘導法の確立(2)その過程における各種細胞増殖因子の解析にあった。 (1)についてまず、心筋細胞の生死に関わる細胞内伝達機構について、これまでの研究代表者の研究成果をまとめ、誌上発表した(Moll Cell Biochem 2004;59(1-2):163-168)。次に、in vitroにおける骨髄成体幹細胞から心筋細胞への分化誘導を検討するため、GFP遺伝子組み換えマウス骨髄間葉系幹細胞と新生児マウス培養心筋細胞との混合培養、もしくはマウス骨髄間葉系幹細胞を心筋培養液で培養した。骨髄細胞における心筋特異的蛋白の発現を、免疫染色法やWesten blotting法で見たところ、約7日間でTroponin Iや心筋actinなどの発現を認めた。同様に、GFP遺伝子組み換えマウス骨髄間葉系幹細胞を内臓平滑筋培養液で培養すると、骨髄細胞に平滑筋特異的蛋白が発現した。以上の結果は、骨髄細胞が平滑筋や心筋の培養液によって刺激すると、各々の筋分化に向かう可能性を示し、筋培養液中の分化誘導因子の存在を示唆した。 (2)の検討及び筋培養液中の分化誘導因子の同定のため、心筋特異的蛋白を発現するようになった骨髄細胞の培養液を、ELISA法を用いて細胞増殖因子の関与を調べた。各種細胞増殖因子の中では特に、肝細胞増殖因子(HGF)の関与が示唆された。 さらに、HGFはマウス心筋梗塞後の心機能を改善し梗塞域を制限することが知られているが、HGFが梗塞心で細胞増殖を促進することを発見した。このことは、HGFの心再生における有効性を示唆した。 以上の結果の一部は、すでに誌上発表しており(Am J Pathol.2005;166(2)565-73)、また一部は論文投稿中である。(713字)
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