2004 Fiscal Year Annual Research Report
発生学及び遺伝子工学の融合による生物学的ペースメーカー細胞の再生
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16790420
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
三明 淳一朗 国立大学法人鳥取大学, 医学部, 助手 (40372677)
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Keywords | ES細胞 / ペースメーカー細胞 / 心筋分化 / イオンチャネル |
Research Abstract |
本研究ではES細胞を用いてそのイオンチャンネルを修飾する事で生物学的ペースメーカー細胞を作成する事を目的とする。本年度は未分化マウスEmbryonic stem (ES)細胞から浮遊培養を用いて胚様体(EB)形成から分化した心筋を作成し、さらにGFP発現をレポーターとしてES細胞由来心筋細胞を選択的に単離採取できるシステムを確立した。さらにこの系を用いて自動能を有するES由来心筋細胞の電気生理学的特性とその分化段階依存性の変化を検討した。 ES細胞からの分化心筋様細胞の生化学的・生理学的特性の検討 分化誘導後8日目まで指関数的に拍動EBが増加し、非拍動EBに比してそのトロポミオシン発現は有意に増加した。拍動EBの受容体発現を薬理学的に検討するとβ_1-adorenoceptor受容体、M_2-ムスカリン受容体、A1-プリン受容体が発現していたがβ_2-adrenoceptor受容体発現は弱かった。さらに拍動EBはL型・T型Caチャネル、I_fチャネルおよびNaチャネルの発現がその自動能形成に重要であった。GFP発現をレポーターとしてソートされた細胞はほぼ100%の細胞がトロポミオシンを発現しES由来心筋細胞を選別採取出来、これらの細胞は電気的に自動能活性を有するpacemaker型細胞と自動能を持たない固有筋型細胞の二種類を含んでいた。拍動EBからの酵素処理後の単一自動能細胞またはソート後単一自動能細胞に関して各分化段階での電気生理学的特性を調べ、ES由来自動能細胞には膜電位が浅くVmaxが小さいCaチャンネル依存性の細胞群と膜電位が深くVmaxが大きいNaチャンネル依存性の細胞群が存在した。自動能細胞のイオンチャネル阻害剤への感受性を分化段階で検討し、初期には全ての自動能細胞がT型CaチャネルとI_fチャネルを発現していたが終末分化段階では40%の細胞のみが両チャネルを発現していた。
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